コラテラル

　先日、東京モーターショーの後に、海浜幕張駅前のシネプレックス幕張で、「コラテラル」を観ました。

　これは、「アリ」のマイケル・マン監督による、ハードボイルド・サスペンス。
　トム・クルーズが悪役を演る、と言う事で話題になっている映画です。

　主人公のマックスは、ロス市内のタクシードライバー。
　リムジン送迎会社を設立する夢を抱きつつタクシーを走らせて１２年のベテランだ。
　ある晩、マックスは、ひとりの男を乗せる。ヴィンセントと名乗った男は、一晩かけて市内５ヶ所を回りたい、と、一晩分の割り増し料金を払う事を申し出る。
　そして、最初の目的地で、最初の殺人が起きた・・・！

　この映画、なかなかスタイリッシュで格好のいい映画です。
　ワンカットの構図に拘ったその映像は、時として気障ったらしく、嫌みに思える程に決められていますし、独特のザラついた映像（どうやら、高感度カメラを使い、実際の夜の街の空気を切り取ろうとした結果らしい）も、フィルムノワール風でもあり、好印象です。

　トム・クルーズ演じる、クールな殺し屋、ヴィンセントのキャラクターも悪くないです。
　”ナイスガイ”イメージのトム・クルーズだけに、吐き出す毒舌も、冷徹な殺し屋の表情にも意外性があり、底知れぬ不気味さを出しているように感じられます。
　（２度は難しいでしょうけど(^^;）
　
　物語の方も、プロに徹するヴィンセントと、「夢」を言い訳に今の仕事を「仮の仕事」と言うマックスを対比させるのは上手い。
　「『夢』なんてのは所詮は言い訳、本当に実現させるつもりなら行動を起こせ」と言う、ヴィンセントの言葉には、マックスならずとも、ズキりと来る人もいるのではないでしょうか？
　そして、気弱なタクシー運転手のマックスが、実際に「行動を起こす」終盤の展開はなかなかの盛り上がりでした。

　もっとも、この映画、脚本の出来がいまいち。
　ヴィンセントのミスがどうにも「ドジ」に見えてしまうし、ＦＢＩとロス市警も状況説明に使われただけで扱いが中途半端に見えてしまうのが惜しい。

　全体的にこじんまりとした映画で、トム・クルーズが出演していなければ、あまり話題にもならなそうな映画ですが、小粒ながらも手堅くまとまった感じハードボイルド・サスペンス。
　これはなかなか楽しめました。

　（１１月２日　シネプレックス幕張にて）

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