トゥー・ブラザーズ

　月曜日、仕事終えた後で、ＷＭＣ海老名にて「トゥー・ブラザーズ」を観て来ました。

　ジャン＝ジャック・アノー監督の、動物感動大作、と言う触れ込みですが・・・それって、ちょっと違うんじゃないかなぁ？

　映画の舞台は、１９２０年代のフランス領インドシナ（現カンボジア）。
　ジャングルの中の廃墟となった寺院に暮らす虎の一家がいた。
　だが、仏像の盗掘の為、寺院を訪れた冒険家・エイダンによって父虎は撃ち殺され、２頭の子供は人間に捕らわれ、生き別れになってしまう。
　そして１年。若虎に成長した兄弟は、思わぬ場所で出逢う・・・

　この映画は、人間の身勝手さに振り回される虎たちの運命を描く映画です。

　野生のままに生きようとする虎たちに対比させ、身勝手で自己中心的な人間たちの愚かさを描いているのですが・・・それがあまりにも図式的で表面的。
　とにかく、この映画、人間の登場人物がやることなすこと、殆どに嫌悪感を覚え、感情移入出来ませんでした。
　なにしろ、この映画で主役格のエイダンだって、金儲けの為に、盗掘をし、兄弟の父虎を射殺していますから・・・終盤、兄弟を救おうとする彼の行動もいまひとつ納得いきません。
　（まぁ、兄弟を最後に救う事となる、少年ラウールの純真さは疑う事は出来ませんし、インドシナ人知事の境遇にはむしろ同情するけど・・・）

　もっとも、この映画の見所は、主役となった虎たちの見事な演技。
　彼らの優美な動き、そして表情豊かな仕草は、虎と言う大型肉食獣の魅力を存分に伝えるもの。
　編集や特殊撮影も勿論あるでしょうが、これは大したものだと思います。

　もっとも、それは同時に、虎と言う動物が持つ、野生を結果として奪ってしまった事によるもの。
　動物愛護団体を配慮してか、”野生の虎”を描きながら、その本性である狩猟と、肉食を画面に出さない描写を含め、映画の抱える矛盾に割り切れないものを感じました。

　（９月２７日　ＷＭＣ海老名にて）

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