クモとサルの家族

　これは、「風の電話」などのプロデューサーを務めてきた長澤佳也がメガホンを取った時代劇。
　主演は宇野祥平。共演は、徳永えり、緒川たまき、奥田瑛二。

　江戸時代初期。国境の中立地帯の森の中に、元忍びの夫・サルと腕利きの忍びである妻・クモと、４人の子供たちが暮していた。
　ある日、子供たちが、国境の峠で記憶を失った老人を救い出す――だが、その老人は謀反が起きた隣国の藩主で、その首には高額の報奨金がかけられていて……

　この映画、江戸時代を舞台とした、「カムイ伝」のような忍者映画なのですが、何とも奇妙な事に、子役が全員中国人で彼らの台詞は全部吹替えになっています。（現場では子役らは適当な中国語を喋っていた、と言います）
　そのせいもあって、台詞は大人役の俳優も含め全てアフレコで、映像と台詞とズレを感じるものとなっています……長澤監督は、「かつてＴＶで観た香港映画の感じ」を狙った、と言う事ですが、なんとも珍妙な印象を受けました。

　事実上の自主映画、と言う事で、低予算なのは確かなのですが、主演の宇野祥平を始め、キャストは意外にも豪華ですし、ロケを多用するなど、製作は意外にも頑張っているように思える一方で、アクションは物足りないし、サスペンスも盛り上がらない、そもそも、物語のテンポが悪くてどうにも面白く観る事が出来ない、と、出来としては決して褒められたものではありません、正直、これは劇場公開する出来ではないのでは……
　

　（２０２３年　８月　５日　シネマジャック＆ベティにて）

（作品データ）

　■監督

長澤佳也　

　■出演

　サル　・・・　宇野祥平

　クモ　・・・　徳永えり

　木梨貴虎　・・・　奥田瑛二

（その他のキャスト）
　田畑志真　　リー・ファンハン　　チャオ・イーイー　　ニエ・ズーハン 　　江口直人　　黒羽麻璃央
　緒川たまき　　仲村トオル　　白石加代子

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