これは、春秋戦国時代の中国を舞台にした原泰久の歴史大作漫画「キングダム」の実写映画版第三弾。
　主人公・信役の山崎賢人を始め、主要キャストは勿論続投。監督は佐藤信介で、大長編の原作を脚色する為、原作者の原泰久も脚本に参加しています。

　紀元前の中国・春秋戦国時代。若き国王・?政が治める秦国で、天下の大将軍になるという夢を持つ少年・信は、憧れの伝説の大将軍・王騎の城を訪れて将となる為の教えを乞うのだった。
　そんなある日、秦国に積年の恨みを抱く隣国・趙の大軍勢が侵攻を開始。?政はこれに対抗するため、長らく第一線から離れていた王騎を総大将に任ずる。決戦の地となる馬陽は、王騎にとって因縁のある場所でもあった。
　出撃を前に、王騎は?政に王としての覚悟を問うと、?政はかつて趙の人質となっていた頃に闇の中にあった自分に光をもたらしてくれた恩人・紫夏との秘話を明かし、自身が目指す中華統一への覚悟を示すのだった……

　この映画「キングダム」シリーズですが、現在、６０巻以上にもなる大長編の全てを映画に出来る筈もなく、一つの区切りとなる趙との馬陽攻防戦までを描く三部作になるだろう、と予測していましたが、どうやら馬陽攻防戦を前後編に分け、全四作となる模様です。
　そうした構成で、完結編への謂わば繋ぎとなるこの三作目ですが、本作は、その中心に、?政が趙の人質となっていた少年期の回想を持って来ました。原作では、なかなか胸を打つエピソードですし、趙から荷馬車に潜んで脱出するサスペンスは最後の追走劇もあってなかなか見せるものの、映画シリーズからは浮いた感もあります。また、このエピソードの最大の問題は、当時、１０歳位であるはずの?政を、吉沢亮が演じている事で、これはさすがに違和感が強くありました。
　
　一方の馬陽の戦いは、本作ではほんの序盤の戦いを描写するに留まり、王騎の因縁についても本作では未だ語られません。それでも、主人公・信が小なりとは言え将として指揮を執る飛信隊のデビュー戦を描いてクライマックスとするなど、工夫も見せます――この辺りは、原作の原泰久も加わった脚色の妙、と言う所でしょうか。
　ただ、完結編への繋ぎの役割となる本作は、いよいよこれから面白くなる、と言う所で終わってしまいます。来年公開の第四弾が今から待ち遠しいです。

　（２０２３年　７月３０日　Ｔ−ＪＯＹ横浜にて）

（作品データ）

　■監督

佐藤信介

　■出演

信　・・・　山�ｱ賢人
?政　・・・　吉沢亮
河了貂 　・・・　橋本環奈

羌かい　・・・　清野菜名

王騎　・・・　大沢たかお

紫夏　・・・　杏

（その他のキャスト）
　岡山天音　　満島真之介　　佐藤浩市　　三浦貴大　　濱津隆之　　真壁刀義　　��嶋政宏　　要潤
　山田裕貴　　高橋光臣　　片岡愛之助　　山本耕史　　長澤まさみ　　萩原利久　　　加藤雅也　　高橋努
　平山祐介　　玉木宏　　吉川晃司　　小栗旬　　佐久間由衣

　■コピー

俺たちの夢は　
誰にも奪えない。
　

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