コールド・マウンテン

　今日は朝からサージタンク磨き。
　午後はバイクをイジって・・・夕食後、ちょいと気分を変えて映画を観に行く事にしました。

　映画は「コールド・マウンテン」。
　この映画は、南北戦争末期のアメリカを舞台に、戦争によって切り裂かれた恋人たちを描くもの。
　ジュード・ロウとニコール・キッドマンと言う美形の２人を主役の恋人同士に、そして、その脇を、レニー・ゼルウィガー、ナタリー・ポートマン、それにドナルド・サザーランドが固めると言うかなり豪華なキャストの映画です。
　前宣伝としては、遠く離れた恋人のもとに向かうひとりの男を描く感動もののラブストーリーと言う感じで、甘いロマンスを期待して入って来たカップルの姿も多かったのですが・・・映画冒頭、繰り広げられるのは、激しい戦闘シーン。
　それも、勇壮とか華麗と言う文字で飾られるものでなく、血泥の中、銃剣やナイフでもって戦う血みどろの戦い。
　そこには「正義」も何もなく、ただ生き残る為に己の前の敵を倒す、両軍の兵士が獣と化す地獄の戦場です。
　これには結構引いた人も多かったのでは、と思います。
　物語は、その冒頭の激闘を生き抜いた南軍兵士のインマンが、故郷、”コールド・マウンテン”の懐かしい風景と、一度キスを交わしただけの恋人、エイダを想って、脱走し故郷を目指す、と言うエピソードを中心に、故郷でインマンの帰りを待つエイダの様子と、回想シーンによって、戦争によって引き裂かれた２人のラブストーリーを描いて行きます。

　この、ラブストーリーの部分ですが・・・致命的なミスキャストによって足を引っ張られてしまっています。
　それは、ニコール・キッドマン。
　いくら何でも、ニコール・キッドマンが、奥手で初な牧師の娘を演じるには無理があろうと言うもの。
　設定としては、恐らくせいぜい２０代前半であろうこの役を演じるには、ニコール・キッドマン、老けているし、貫禄もあり過ぎ。いかに初々しく演じて見せても「カマトトぶってる」って感じがどうしても拭い去れません。
　これが、せめてレニー・ゼルウィガーと同年齢か、更に下の若い女優であれば、この物語は、もっと自然になったと思うのですが・・・
　
　一方、レニー・ゼルウィガーはいつもの事ながら見事な役作りぶり。
　レニー演じるルビーが登場し、ラブストーリーから、貧乏サバイバルへ物語が変貌し出すと途端に面白くなるのだから困ったものです。(^^;
　（ニコール演じるエイダが、実生活では全く無能なお嬢様、と言うのは、これは納得出来るんですな）
　
　この映画の中心にあるのは、実はラブストーリーではなく、戦争の悲惨さと、それを生み出す男たちの愚かさ。
　「男たちは、戦争と言う雨を降らせておいて、”大変だ、雨だ”と騒ぎ出す」　と言うような台詞がありましたが、男が愚かにも戦争を起こし、その銃後で女たちは悲しみながらもしたたかに生きて行く、そうした様が繰り返し描かれます。
　その意味では、これは明確な反戦映画だと思います。

　そして、この映画でもっとも悪人として描かれているのは、若者を戦場に送り出し、自ら戦争を利して私腹を肥やす者です。
　今、アメリカでそれに相当する者は誰か。
　今のアメリカでこうした反戦映画を作ると言う事は、勇気ある事なのだろう、と思います。

　（４月３０日　ＷＭＣみなとみらいにて）

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