マイ・ブロークン・マリコ

　これは、平庫ワカによる同名漫画を、「浜の朝日の嘘つきどもと」のタナダユキ監督が、「そして、バトンは渡された」の永野芽郁主演で実写化したもの。
　共演は奈緒、窪田正孝。

　ブラック企業勤めで鬱屈した日々を送るOLのシイノトモヨは、幼馴染で親友のイカガワマリコが亡くなったことを知る。
　マリコの遺骨が、彼女にＤＶを繰り返し、近親相姦までしていた父の元にある事を知ったシイノは、マリコの魂を救うために包丁片手に殴り込み、遺骨を強奪して逃走するのだがーー

　これは女同士の友情を描くシスター・フッドものですが、その片方が死んだ所から始まるのが異色と言えば異色。
　タイトルにも「マイ・ブロークン・マリコ」とあるように、マリコの壊れた家庭が、やがて本人も壊して行った、と言う話であると共に、しぃちゃんことシイノも、また何処か壊れた女なのです。
　そんな壊れた女ふたりが相互依存した挙げ句、その片割れが自身の欠落に気づく為の旅を描く物語には引きつけられるものがあり、それが、シイノのイメージとは大きく異なる永野芽郁をして、これを演じたい、と思わせたものではないでしょうか？

　その永野芽郁は、かなりイメージを変えてシイノ役に挑んでいます。大股開いてタバコをふかし、酒に酔ってクダを巻く……そんな、バンカラぶりは頑張っているものの、それが“頑張っている”と見えてしまう所が、永野芽郁の限界か……門脇麦ならば、間違いなく様になっていただろう、とは思うのですが。
　

　（２０２２年　１０月　５日　１０９シネマズ湘南にて）

（作品データ）

　■監督

タナダユキ　

　■出演

　シイノトモヨ　・・・　永野芽郁

　イカガワマリコ　・・・　奈緒

（その他のキャスト）
　窪田正孝　　尾美としのり　　吉田羊

　■コピー

あんたの遺骨は、
あたしが連れて行く。

［戻る］