これは、盲目の少女が、視覚障碍者サポートアプリ「シーフォーミー」を相棒に、侵入者に立ち向かうサスペンス。
　主演は、実際に視覚障碍者のスカイラー・ダヴェンポート。これまで主に声優の仕事をしていましたが、本作で映画初主演。
　監督は、日系カナダ人のランドール・オキタ。

　スキーの滑降競技で将来を期待された選手だったソフィは、病気で視力を失って以降、ふさぎ込んでいた。ブラインドスキー転向の誘いも振り切り、彼女は頑なに援助の手を跳ね除け、バイトで自活していた。
　そんなある日、ソフィは、請け負った留守宅の猫シッターのアルバイトで、人里離れた豪邸を訪れる――だが、ソフィには、豪邸を狙ってバイトを引き受ける別の目的があった。彼女は、視覚障碍を逆手に取り、金目のものを盗み出そうとしていたのだ。
　ところが夜半、何者かが屋敷内に侵入。目的は、隠し金庫だ。この危機に、ソフィは「シーフォーミー」を起動し、元軍人のゲームプレーヤー、ケリーに助けを求めるが……

　この映画、「ホームアローン」のような閉鎖空間サスペンス。
　主人公のソフィが視界障碍のある少女、しかも慣れぬ他人の家、と幾つもハンデを負わせた上で、銃を持つ侵入者と対峙させる……そんなソフィの手助けが、タイトルにもなっている「シーフォーミー」で、これでゲーマーのケリーが、まるでゲームのキャラクターのように、ソフィを“操作”する、と言うのがこの映画独自のアイデアになります。
　これは面白い工夫なのですが、映画全体としては、盛り込まれたアイデアや要素がどうにも活かされていない感じ――ソフィがスキー選手、と言うスキルは活かされないし、彼女が猫シッターをしている理由が、窃盗と言うのもすっきりしません。また、命を軽く扱い、人を殺し過ぎるのも気になりました。
　むしろ、このアイデアはこのまま、侵入者を殺すような事無く、屋敷からソフィが逃げ出し、通報する為に、ブラインドスキーで山を下る……これにより、ソフィのトラウマ解消と、新たな一歩を踏み出すきっかけとなる……と言うように出来なかったものでしょうか？
　アイデアは面白いものがあっただけに惜しい、と思いました。　
　

　（２０２２年　８月２６日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

ランドール・オキタ

　■出演

ソフィ　・・・　スカイラー・ダベンポート　

ケリー　・・・　ジェシカ・パーカー・ケネディ

（その他のキャスト）
　パスカル・ラングデール　　ジョー・ピング　　ジョージ・チョートフ　　キム・コーツ　　ローラ・ヴァンダーヴォート

　■コピー

相棒は
サポートアプリ

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