これは、田舎町の小さな警察署が怒涛のカオスと化すバイオレンス・アクション。
　監督は「コンティニュー」のジョー・カーナハン。出演は、ジェラルド・バトラーにフランク・グリロ、それにトビー・ハス。主人公の警官役に、「ハリエット」の若手女優アレクシス・ラウダーが起用されました。

　ある夜、田舎町の小さな警察署に、暴力沙汰を起こした詐欺師テディが連行されてくる。マフィアに命を狙われているため、避難場所を求めてわざと逮捕されたのだ。ところが、マフィアに雇われた殺し屋ボブが泥酔男に成りすまし留置所のお向かいさんとなったから、さぁ大変――ガンマニアの新人警官ヴァレリーによってボブのテディ抹殺計画は阻止されるが、更に、マフィアが放った新たな刺客、サイコパスのアンソニーが現れて署員を皆殺しにし、孤立無援の危機に陥ったヴァレリーと裏社会の３人の男たちによる壮絶な殺し合いが始まる。

　この映画、Ｂ級アクションにありがちな設定、更に露骨な伏線含め、安い作りではあるのですが、緊張感を保ちつつ、意外性のある展開で物語を転がして行く感じがあって、Ｂ級としては悪くない、と言うか、キャストを考えれば、これはＢ級映画には収まりません。
　ただ、そんなキャストが問題。この映画で、ジェラルト・バトラーが殺し屋を演じ、そのターゲットとなる詐欺師がフランク・グリロでは、さすがに展開が読めてしまいます。ここで、詐欺師をローランド・ブルーム辺りが演じていたら、先が読めなくなるとは思いますが、そうなると、キャストとしては最早Ａ級になってしまうでしょうか。

　映画は前半、設定を先延ばしにするもったいぶった演出のせいもあってもたつきますが、中盤以降、特に、サイコパスの殺し屋アンソニーが登場してからは怒涛の勢い。人数が少なく、場所も限定されている為、地味にも思えますが、心理戦を盛り込んだアクションはなかなかです。
　惜しいのは、物語最後のキレとオチ――ここが巧く決まればもっと印象がよくなったと思うのですが……
　

　（２０２２年　７月１８日　Ｋｉｎｏシネマ横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ジョー・カーナハン　

　■出演

　ヴァレリー・ヤング　・・・　アレクシス・ ラウダー

　ボブ・ヴィデック　・・・　ジェラルド・バトラー

　テディ・マレット　・・・　フランク・グリロ

　アンソニー・ラム　・・・　トビー・ハス
　

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どいつもこいつもゲス野郎

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