これは、人気漫画「キングダム」の実写映画版、第二弾。
　監督は前作に引き続き佐藤信介。出演は、山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈。

　春秋戦国時代、中華・西方の国・秦。下僕の身分だった信は、クーデターで王位を奪われた若き王・政と出会い、河了貂らの協力もあって玉座を奪還する。
　半年後、隣国・魏が国境を越え侵攻を開始したと知らせが届く。秦国は国王・政の号令の下、魏討伐のため蛇甘平原に軍を起こす。信は歩兵として戦に向かい、その道中、同郷の尾平と尾到と再会――戦績のない信は、尾兄弟に加え、頼りない伍長・澤圭の下、残りものの羌かいらと伍を組むことになる。
　決戦場の蛇甘平原では、魏軍が優勢で、秦軍は完全に後れを取っていたが、信が配属された隊を指揮する縛虎申は、歩兵に無謀な突撃命令を下して……

　本作は、信の初陣となる秦魏戦に絞った内容となりますが……中国の平原で大群がぶつかる、スケールの大きな戦闘シーンは見応えがあります。
　特に、魏軍の戦車との戦いは、前半のクライマックスとなる見所でしょう。
　原作漫画では秦魏戦の後のエピソードとなる、政暗殺事件を冒頭のプロローグに使い、エピローグで黒幕の呂氏を登場させる工夫も悪くないのですが――この構成のせいで、秦魏戦となる蛇甘平原の戦いの最中、信と羌かいが話し合うシーンを入れる為、戦いを２日に分け、戦闘シーンのテンポを削ぐと共に、戦いの展開も不合理となってしまったのにはがっかり――ここまでやるなら、蛇甘平原の戦いの展開をも見直さないといけないでしょう。

　そんな後半で光っていたのは、千人将・縛虎申を演じた渋川清彦で、信に将の覚悟と戦いの意義を身を以て教える存在になっています。欲を言えば、勝利優先の縛虎申と、弱者の生きる道を示す澤圭を対比させるとよかった、と思うのですが、それは、原作漫画で、この先、信がどのような将になるのかを知っているが故の贅沢ではあるのですが……

　今回は、蛇甘平原での戦いに終始し、政や河了貂の出番も少なく、映画としては一本調子の感があるのは否めませんが、呂氏が登場する、第三弾はどうなる事か……既に撮影は終了しているようなので、公開が楽しみです。


ＰＳ
　映画第三弾で登場する、呂氏を演じるのは佐藤浩市なのですが……呂氏はもっと目力があって、精力的でギラギラしている印象で、ちょっとイメージに合わないな、と。
　（最近、佐藤浩市も枯れて来てるので、蔡沢でもいいじゃないか、と思ってしまいました）
　ここは是非、市川海老蔵を起用して欲しかったところでしたが……残念。
　

　（２０２２年　７月１７日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

佐藤信介

　■出演

信　・・・　山�ｱ賢人
政　・・・　吉沢亮
河了貂 　・・・　橋本環奈

羌かい　・・・　清野菜名

尾平　・・・　岡山天音

澤圭　・・・　濱津隆之

縛虎申　・・・　渋川清彦

壁　・・・　満島真之介

王騎　・・・　大沢たかお

呂不韋　・・・　佐藤浩市

（その他のキャスト）
　三浦貴大　　真壁刀義　　山本千尋　　豊川悦司　　��嶋政宏　　要潤
　加藤雅也　　高橋努　　平山祐介　　玉木宏　　小澤征悦

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命をたぎらせ、生きろ。

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