これは、口コミで奇跡の大ヒットを飛ばし、社会現象ともなった上田慎一郎監督の「カメラを止めるな！」のフランス版リメイク。
　出演は「タイピスト」のロマン・デュリスに、「アーティスト」のベレニス・ベジョと豪華なもので、「カメラを止めるな！」から竹原芳子が同じプロデューサー役で出演。
　監督は「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス。

　日本で大ヒットした、３０分間生放送・カメラ１台でワンカット撮影による“ゾンビもの”のリメイクをを引き受けたフランス人監督レミ。
　だが、現場には監督志望だが純粋すぎて空気の読めない彼の娘と、熱くなると現実とフィクションの区別がつかなくなる妻も加わり大混乱！更に、日本人プロデューサー・松田が押し付ける無理難題を乗り越えて、最後まで完走できるのか？――何が起きても「キャメラは止めない！」。

　オリジナルでは低予算のインディーズ作品だった「カメラを止めるな！」ですが、このリメイクでは、名優を揃え、製作費も６．５億円もかけているだけに、最早、インディーズ映画と言う感じはありません。
　そうした底上げされた質の高さ故に、冒頭のワンカットホラー映画パートの不出来さが作為的に思えてしまうのは難点ですが……展開から登場人物名までオリジナル通り、と言う不自然さまでも含めて、ちゃんとネタバラシをする、ある意味、オリジナル通りの内容となっています。
　また、音響スタッフにも着目したのはリメイク版のオリジナルで、これは面白い工夫だと思いました。
　確かに、オリジナルの上田慎一郎監督が生み出した「カメラを止めるな！」の枠内に留まる映画ではありますが、その差異も含めて楽しめるのであるのは事実。
　賛否分かれるとは思いますが、これは一見の価値あり、と思いました。　
　

　（２０２２年　７月１６日　Ｋｉｎｏシネマ横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ミシェル・アザナヴィシウス

　■出演

レミ　・・・　ロマン・デュリス

（その他のキャスト）
　ベレニス・ベジョ　　竹原芳子　　グレゴリー・ガドゥボワ　　フィネガン・オールドフィールド　　マチルダ・ルッツ

　■コピー

アカデミー賞監督が！まさかのリメイク！

［戻る］