これは、「トイ・ストーリー」シリーズのキャラクター、バズ・ライトイヤーの知られざるルーツを描くCGアニメ。
　声の出演は、「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンス、「ハスラーズ」のキキ・パーマー。

　スペース・レンジャーとして、宇宙探索隊を率いるバズ・ライトイヤー。だが、彼は未知の惑星探査中に、自分の力を過信する余り、宇宙船の超光速飛行用エネルギーブロックを破損してしまう。その結果、探検隊は惑星に足止めされ、地球への帰還の術を失ってしまった。
　バズは責任を感じ、探索隊を地球に帰還させようと、新たなエネルギーブロックの開発とテストに取り組むのだが……

　本作の監督は、「ファインディング・ドリー」で共同監督を務めたアンガス・マクレーン。シリーズの脇役にスポットを当てた作品をヒットさせた実績を買われた、と言う事なのですが……この映画の出来には疑問を覚えました。
　この映画に採り入れられた超高速飛行によるウラシマ効果を活かしたアイデアは、確かにＳＦとしては悪くないものだと思います。自分の体感時間に対し、周りの人々の時間が先に進み、自分だけが取り残されてしまう悲哀や、その果てに対面する思わぬ敵……これは、時代遅れになりつつある中年男には痛い物語です。
　しかし、これは「トイ・ストーリー」のアンディ少年のお気に入りの映画で、バズの玩具を買った、と言う設定なのです。こんな、小難しく、説教臭い映画で子供が面白がるものでしょうか――私には、小学生のアンディがこれを気に入ったとはどうにも思えない映画なのですが……
　また、そんな展開の前半に対し、後半はガラリと雰囲気を変えて、”ポンコツ”スペース・レンジャーとのドタバタアクションとなるのも滑り気味だし、前半部との差異にも戸惑います。

　あと、この映画、バズの相棒で後に探索隊の司令官となる女性のパートナーが女性だと言う事で、１４ヵ国から上映禁止となっているのですが、これには物語上の必然性がない……これならＣＧ映画の特性を理解してシーンを差し替えてしまえば済むような感じで、そうしたポリコレ対応にも疑問を覚えてしまいました。　
　

　（２０２２年　７月　１日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督・脚本・原案

アンガス・マクレーン

　■出演

バズ・ライトイヤー　・・・　クリス・エヴァンス

（その他のキャスト）
　キキ・パーマー　　デイル・ソウルズ　　タイカ・ワイティティ　　ピーター・ソーン　　ウゾ・アドゥーバ　　ジェームズ・ブローリン　　メアリー・マクドナルド＝ルイス　　エフレン・ラミレッツ　　ザイア・ウィットロック・Ｊｒ

　■コピー

君がいれば、きっと行ける。
無限の彼方へ――

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