プロジェクトＶ
VANGUARD

　これは、ジャッキー・チェンが「レッド・ブロンクス」のスタンリー・トン監督と再びタッグを組んだアクション超大作。
　
　ロンドンに本拠地を置き、ＶＩＰの警護を請け負う特殊警備組織「ヴァンガード」。
　春節の祝日、実業家チョンが傭兵組織・北極狼に襲撃される。警備を担当していたヴァンガードは、何とかチョンを守り切ったが、北極狼は次にアフリカで自然保護活動をしているチョンの娘のファリダを狙う。ヴァンガードは、ボスのトンまでが駆けつけて防戦したのだが、結局、ファリダは誘拐されてしまう。ファリダ救出のため、中東のドバイに向かったヴァンガードは、予想もしていなかった巨大な組織の渦に巻き込まれて……

　本作撮影時、ジャッキー・チェンも６５歳……役柄もとうとう、組織のボスと言う立場になってしまいました。
　アクションシーンは若手が担い、歌と芝居とギャグをジャッキーが担当する、と言うのが、最近のジャッキーの映画の常になってしまいましたが、この映画もその例に漏れず、そうして若手が活躍する舞台をお膳立てする役割を担う、と言うのは、映画内でジャッキー演じるトンとも通じるものがあります。
　もっとも、組織のトップと言う立場でありながら現場に出て来てしまうトンのように、ジャッキーも機会あればアクションを披露する、と言うのは、らしい所ですが……

　最近は中国映画も製作費が潤沢になり、世界中を駆け回るようになっており、そのスケールの大きさは徐々にハリウッド大作に迫るものになっています。
　まぁ、カーチェイスなどはＣＧにまだまだ頼りチープさも感じはするものの、その一方で、香港映画の流れを汲む派手でコミカルでテンポのいい肉弾アクションは健在。
　だからこそ、かつてのジャッキーのようなアクションを見せて欲しいとは思ってしまうのですが、それはさすがに無理な願いか……

ＰＳ
　エンドロールには、お馴染みのＮＧシーンとメイキングシーンがあります。
　見せ場のひとつ、アフリカでの激流でのチェイスシーンは、実際の川（勿論、滝の上ではないのですが）で撮影しているのですが、水上バイクに乗るジャッキーがバイクを転覆させてしまい、その下敷きになってなかなか浮上出来なかった、と言うシーンが収められています……まだまだ身体張ってるんだなぁ、と感心しますが、これは実際、かなり危険な状況だったのではないでしょうか？
　

　（２０２１年　５月　９日　ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）

（作品データ）

　■監督・脚本・製作

スタンリー・トン　

　■出演

　トン・ウンテン　・・・　ジャッキー・チェン

　ファリダ・クォックラック　・・・　シュ・ルオハン

　チョン・クォックラック　　・・・　ジャクソン・ルー

（その他のキャスト）
　ヤン・ヤン　　アレン　　ムチミヤ　　ジュー・ジャンティン

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