ミアとホワイトライオン
奇跡の１３００日

　これは、少女とライオンの友情を通して南アフリカの社会問題を浮き彫りにするヒューマンドラマ。
　監督は「アラン・デュカス　宮廷のレストラン」のジル・ド・メストル。
　
　父親が経営する南アフリカのライオンファームで暮らす事になった１１歳のイギリス人少女、ミアは、なかなかアフリカの暮らしに馴染めない。、
　だが、クリスマスの日に生まれたホワイトライオンのチャーリーと共に成長していく中、ミアはチャーリーと特別な絆で結ばれてゆく。
　だが、それから３年、大きく成長したチャーリーを危険と考えた父親は、ミアから引き離そうとする。そんなある日、ミアは驚きの事実を知って……

　アフリカを舞台に少女とライオンの友情を描く物語は至ってシンプルで、正直、物語自体は、予告編で描かれた内容で概ね理解出来てしまいます。
　見所は、動物研究家のケヴィン・リチャードソンの協力で、実際にオーディションで選ばれた少女と、ホワイトライオンの子供を共に３年間に渡り生活させ、ＣＧなしでこれを成立させてしまっていること。
　後ろ足で立ち上がると人の背丈よりも大きく成長したライオンの尻尾を少女が握り、ショッピングセンターの中を闊歩するシーンが実写と言うのですから……
　
　映画は、保護活動家でもあるケヴィン・リチャードソンの影響もあって、ライオンファームの実態や、サファリ観光の富裕層に実際に猛獣を撃たせ、土産として持たせるトロフィー・ハンティング――劇中で言う“缶詰撃ち”など、南アフリカの猛獣観光ビジネスの問題点を切り出して見せ、意外な社会派の一面も見せます。また、中国企業の進出著しいアフリカの現状なども写し出されており、時間をかけた撮影だけに盛り込まれた内容は豊富です。
　ただ、いささか踏み込みが浅く、最後は、いささかファンタジックにまとめた――逃げた、とも見える――描写のせいで、切実であるべきテーマの訴求力を欠いている印象だったのが残念です。
　

　（２０２１年　２月１７日　Ｋｉｎｏシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

ジル・ド・メストル

　■出演

ミア・オーウェン　・・・　ダニア・デ・ヴィラーズ
チャーリー　・・・　トール

（その他のキャスト）
　メラニー・ロラン　　ラングリー・カークウッド　　ライアン・マック・レナン

　■コピー

世界はきっと　変えられる。

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