燃えよデブゴン
ＴＯＫＹＯ　ＭＩＳＳＩＯＮ

　これは、「るろうに剣心」などのアクション監督としても知られる、谷垣健治が監督したドニー・イェン主演のアクション映画。
　また、古くからのアクション映画ファンならば、サモ・ハン・キンポー主演の同題映画を思い出す人もいるのではないでしょうか？

　熱血刑事のファーロンは、捜査に力を入れ過ぎて騒動を起こすこともしばしば。そんな彼は、自身の結婚式の当日、銀行強盗に遭遇。犯人を一網打尽にしたものの、大騒動を起こして、デスクワーク担当の窓際部署に左遷されてしまう。その上、婚約者は結婚を破談にし、家を出てしまった。
　それから半年。ストレスからの暴飲暴食で激太りしたファーロンは、例の強盗事件の重要参考人を日本へ連行する任務に就く。ところが、その移送中、何者かに襲撃を受け、参考人は行方不明になってしまう。ファーロンは持ち前の正義心と責任感から、独自に捜査を進めるのだが……

　この映画、冒頭部分を除き、舞台となるのは東京。
　クライマックスの舞台となるのは東京タワーで、築地市場に歌舞伎町と、訪日環境客目線としても、ちょっと外したロケーションのチョイスは、日本慣れした中国人目線＋谷垣監督のセンスによるものでしょうか？
　もっとも、香港アクション映画のセオリー通り、その東京タワーを始め、殆どのシーンはセットで撮影されています。東京タワーのセットは素晴らしいと思いましたが、歌舞伎町の方は、いささか作りもの臭く、違和感があったのは残念……

　映画としての見せ場はやはりアクション。特殊メイクとマッスルスーツで、体重１２０kgの肥満体になったとは言え、ドニー・イェンの体術が鈍る訳ではなく、見事なアクションを見せています。
　その場にあるものを活用する、と言うカンフー映画の定石に加え、バンの車内など狭い空間でのアクションでも見せ場を作っており、これはなかなか。
　ただ、作りとしては往年の香港のアクション映画のノリで、物語はいささか粗いし、キャラクターの個性も極端に過ぎます……この辺りは、まぁ、香港映画らしさとして納得出来なくもないのですが、残念だったのはギャグがあまり笑えないこと。ファーロンの“やり過ぎ”をギャグにするのですが、これが笑いを取れないのです。
　まぁ、ドニー・イェンが如何に特殊メイクして太って見せても、サモ・ハン・キンポーになれる訳もなく……むしろ、ドニー・イェンのキレのあるアクションを存分に活かしたハードでシリアスなドラマにしてもよかったのではないでしょうか？


ＰＳ
　日本側コメディ担当は竹中直人。彼の持ちネタのブルース・リーの真似も披露しているのだけど、上手くやった方がＮＧとなり、似てない物真似が採用されたのは、気の毒のような……　
　

　（２０２１年　１月　３日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督

谷垣健治

　■出演

ファーロン　・・・　ドニー・イェン

（その他のキャスト）
　テレサ・モウ　　ウォン・ジン　　ニキ・チョウ
　竹中直人　　丞威　　渡辺哲　　バービー

　■コピー

太っても、最強。

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