「エントラップメント」

　ベテラン俳優、ショーン・コネリーと、「マスク・オブ・ゾロ」で華麗な剣さばきを見せた、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ共演のサスペンス映画。
　監督はジョン・アミエル。

　凄腕の美術品泥棒マック（ショーン・コネリー）に業を煮やした保険会社が、女性調査員ジン（ゼタ・ジョーンズ）を使ってマックを罠にはめようとする。
　美味しい餌をちらつかせ、尻尾を掴もうと言うのだ・・・が、実はジンも泥棒で、彼女が狙うでかいヤマの為に、マックに接近する機会を狙っていたのだ。物語は更にＦＢＩが登場し、二重三重の騙し合いとなって行く・・・
　
　この映画、見せ場は華麗な「盗み」のテクニックです。
　まるで「ルパン３世」のような、ハイテク小道具が次から次へと飛び出します。
　序盤の高層ビルからの絵画の盗み出しは正にコレでした。
　次の獲物となる黄金の仮面では、盗む準備段階からきっちりと見せてくれます。
　準備段階では、「何をやっているのか？」と疑問に思えた事が、実際の盗みのシーンで「こう言うことだったのか！」と判るのは、パズルが解けるようで、なかなか痛快でした。
　また、これでマックの鮮やかな手並みの影には周到な準備が用意されている事が判り、準備期間の殆どない最後のヤマが非常に難しい事を示す伏線になっています。
　この辺りの展開はなかなか上手い、と思いました。

　ただ、主人公達が余りに凄腕（そう言う設定なのだから仕方ないが）なので、最後のヤマを除けば、失敗もせず、見つかりもせず、難局をあっさりクリアしてしまうので、手に汗握るようなスリルがあまり感じられないのが惜しい所ですが・・・これは、まぁ仕方ないですね。

　ゼタ・ジョーンズは、ちょっとキツめの感じで、私的には、あまり好みではないのだけど、アクション場面ではいいですね。
　また、身体の柔らかさを活かし、レーザー光線にガードされた目標に接近する為の訓練として、レーザーに模した赤い毛糸の間を身体をくねらせながら進むシーンなどはドキドキしました。

　ショーン・コネリーは相変わらずの名優ぶりで渋い所を見せてくれますが、さすがに歳だけあって、ラブシーンはちょっと苦しくなって来ました。(^^;
　ゼタ・ジョーンズとのロマンスにしても、恋人、と言うよりは親子（実際、親と子ほど歳が違うでしょ）関係に見えてしまうんですよねぇ。

　とぉ、言う訳で、見せ場もあるし、俳優もいいんだけど、肝心の脚本がねぇ。
　騙し騙され、二重三重の騙し合いをやっているのはいいんだけど、張って置いた伏線が繋がらず、最後のドンデン返しが綺麗に決まらないのでは映画としての痛快さに欠ける事、夥しい。(-_-;)
　これで、最後が決まれば、結構面白いアクションになったのに、と、ちょっと残念。

　（８月３１日　横浜・相鉄ムービルにて）

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