ＷＡＲ
ウォー!!

　これは、「クリッシュ」のリティク・ローシャンと、俳優ジャッキー・シュロフの息子で、インドの次世代スターとして期待されるタイガー・シュロフが共演したアクション。
　本国インドでは、２０１９年の映画興行収入１位を獲得しています。

　インドの対外諜報機関ＲＡＷの腕利きエージェントのカビール少佐が味方の高官を射殺し逃亡。ＲＡＷに衝撃が走る。ＲＡＷはカビール抹殺を決定し、若手エージェントのハーリドがそのミッションに名乗りを上げる。だが、ハーリドはカビールの教え子で、これまで、チームの指揮官と部下として数々の作戦に従事していただけに、上官のルトラ大佐はハーリドがカビールを殺せるのか、と危惧していた。
　そして、カビールとハーリド、二人のトップエージェントの死闘が始まるが、その裏には大きな陰謀が潜んでいた……

　本作は、「Ｍ：Ｉ」「フェイス／オフ」など数多くのアクション映画のオマージュ満載、とされていますが、本作が一番やりたかったのは「００７」でしょう――世界に冠たる大英帝国だからこそ許される、世界を舞台に大暴れを、今やインドも出来るのだと言うことを示すのが本作ではないでしょうか。
　それに現実のモディ首相の対外強硬路線がリアリティを与え、数多のオマージュも、時間と金をかけ、オリジナル以上にしてしまえば文句あるまい、と言う力技。
　銃撃戦に、肉体を駆使したパルクールによる追走劇があり、スカイアクションもあれば、バイクアクションにカーチェイス、最後は素手のドツキ合いと、アクション映画の要素はすべてブチ込み、勿論、ゴージャスなインド美女とのロマンスあり、そしてインド映画ならではの絢爛豪華なダンスシーンと、最早、何でもありの娯楽映画のフルコース。
　インド映画ならではの、スローモーションを多用したサービスカットはちょっとしつこい感もあったが、中盤以降は、サービスカットを含むダンスシーンが（恐らくカットされて）なくなっている事で気にならなくなります。

　主演２人はいずれも見事な肉体美を誇ります――若手のタイガー・シュロフは、インド人としては珍しい“濃さ”を感じさせない顔立ちで、何だか大泉洋みたいだなぁ、と思ってしまいました。

　本国版なら休憩が入るインターミッションの後、ドンデン返しがあるのは「サーホー」と同じ。そこで主人公入れ替えをもしてしまうサスペンス要素に、終盤にもう一ヒネリを加えると言う構成は、シリーズ化を意図していない強み……スケールの大きさに加え、娯楽性の高さに構成の緻密さまでも合わせ持つ極上エンターテイメント。
　この種のジャンルで、インド映画が、ハリウッドに真っ向勝負を挑める事を示す映画だと思います。
　

　（２０２０年　７月２４日　川崎チネチッタにて）

（作品データ）

　■監督

シッダールト・アーナンド

　■出演

カビール　・・・　リティク・ローシャン

ハーリド　・・・　タイガー・シュロフ

（その他のキャスト）
　ヴァーニー・カプール　　アヌプリヤー・ゴーエンカー　　アーシュトーシュ・ラーナー

　■コピー

世界を交錯する
謀略<スパイ>と銃弾!!

　■Ｌｉｎｋ

https://war-movie.jp/

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