レイニーデイ・イン・ニューヨーク

　これは、マンハッタンを舞台に、運命のいたずらに翻弄される男女の姿を見つめるウディ・アレン監督作。
　出演は「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、「マレフィセント」シリーズのエル・ファニング、「スプリング・ブレイカーズ」のセレーナ・ゴメス。

　ニューヨークの大学生、ギャツビーは、恋人で許嫁の大学の同級生アシュレーが、大学新聞の取材で著名な映画監督のローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをする事を知る。生粋のニューヨーカーであるギャッツビーは、この機に関係を深めよう、と、アリゾナ生まれのアシュレーにＮＹを案内しよう、とエスコートを申し出る。
　ギャッツビーは、高級ホテルのスイートルームを予約、週末デートを計画するのだが、アシュレーは取材先で振り回され、なかなか帰って来ず……

　これはいかにもウディ・アレンらしい映画です。
　黒人もアジア系もいない、ハイソサエティなニューヨークを舞台に、女好きでちょっとだらしなく、アートとクラシックが大好きなギッツビーはウディ・アレン本人の投影でしょうし、恋と浮気とすれ違いの１日を描くロマンティックコメディ――これに殺人が絡めば、もうウディ・アレン映画のお約束展開になるのですが、本作は「殺し」までは行かない、あっさり薄味仕立てとなっています。

　面白いは面白いし、端正な映像は美しく、アシュレーを演じたエル・ファニングは最近の出演作の中で最も綺麗に写っています。
　ただ、物語はスローテンポ、しかも新鮮味に欠けますし、女性の描き方も如何にも役割を振ったと言う感じで、その内面に踏み込もうとしないあたり、ウディ・アレンも歳をとったなぁ、と思わされてしまいました。
　

　（２０２０年　７月　５日）

（作品データ）

　■監督・脚本

ウディ・アレン　

　■出演

　ギャツビー　・・・　ティモシー・シャラメ

　アシュレー　・・・　エル・ファニング

　ローランド・ポラード　・・・　リーヴ・シュレイバー

（その他のキャスト）
　セレーナ・ゴメス　　ジュード・ロウ　　ディエゴ・ルナ

　■コピー

うつり気な　
恋の空模様に　
ご用心

［戻る］