これは、オスカー女優、ダイアン・キートンが平均年齢７２歳のチアリーディング・クラブを結成する老女に扮したドラマ。

　末期ガンで余命宣告を受けたマーサは余生をゆっくりと過ごすため、シニアタウンに引っ越したものの、お節介焼きで騒々しい隣人シェリルに振り回される事になる。
　だが、そんなシェリルに、夢をかなえるのは今からでも遅くないと焚きつけられ、マーサは、結局、舞台に立つことのなかったチアリーディングをやって見よう、と、チアリーディング・クラブを結成する。
　しかし、オーディションに集まったのは、チア未経験どころか腕が上がらない、膝が痛い、坐骨神経痛持ちなどの８人で……

　この映画、７０過ぎの老女優を集め、それでもこれを「青春映画」として作ってしまうのが大胆不敵。
　もっとも、実際、仲間集めに始まり、惨敗と挫折、カミングアウトがあって一団となって特訓をし、最後の大舞台へ、と言うスポ根・青春もののフォーマットを踏襲する、青春映画としての王道の作りではあるのですが。
　また、シェリルの孫息子と、彼の通う高校のチアリーダーに、青春モノならではの成長とロマンスを分担させるなどの工夫を見せているのもそつのない所です。
　
　ダイアン・キートンは、さすがに歳をとったなぁ……とは思うものの、年齢を感じさせないスタイルはさすがです。
　共演は、「アニマル・キングダム」のジャッキー・ウイーヴァーに、「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリア。パム・グリアも既に７０を過ぎているのですが、まだまだ色気を見せてくる辺り、かつてのセックス・シンボルの面目躍如、でしょうか。

　ラストのステージは、彼女らのパフォーマンスに対してはちょっと盛り上がり過ぎで、いささか不自然……ここはもう少し見せ方があったのでは、と思うのですが。
　でもまぁ、「青春」と言うのが年齢ではなく、心の持ちようであるのが判る映画です。　
　

　（２０２０年　７月　４日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

サラ・ヘイズ

　■出演

マーサ　　・・・　ダイアン・キートン
シェリル　・・・　ジャッキー・ウィーヴァー
ヴィッキー　・・・　セリア・ウェストン
アリス　　　 ・・・　リー・パールマン
オリーブ　　・・・　パム・グリア

（その他のキャスト）
　アリーシャ・ボー　　チャーリー・ターハン　　フィリス・サマーヴィル　　パトリシア・フレンチ　　ジニー・マッコール　　キャロル・サットン

　■コピー

今、わたし史上最高のとき

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