これは、動物と話ができる医師、ドリトル先生の奇妙な冒険を描く、ヒュー・ロフティングの世界的ベストセラーを原案に、ロバート・ダウニーＪｒ．が製作総指揮・主演を務めて映画化したアクションアドベンチャー。
　監督は「シリアナ」のスティーブン・ギャガン。

　動物と話すことができるドリトル先生。名医として知られ、女王より下賜された邸宅で動物たちと暮らしていた。
　だが、妻で冒険家のリリーを海で亡くしてからは、世間から距離を取り、誰とも会う事無く、ひっそりと暮らしていた。
　ある日、女王が重い病に倒れたと知らされ、その死と共に邸宅が召し上げられる事を知ったドリトル先生は、唯一の治療法を求めて、伝説の島へ向かう冒険の旅に出発する。
　だが、女王の病は国をも揺るがす陰謀によるものだった……

　エディー・マーフィーがドリトル先生を演じた１９９８年の映画は「動物と話が出来る」と言う設定だけを借りたほぼオリジナルだったのに対し、今回の映画版、物語としては小説第二作目「ドリトル先生航海記」をベースとし、時代設定や登場するキャラクターの多くも原作小説から持って来ています。もっとも、その物語は奇想天外な小説世界に比べるといささか人間臭い、と言うか人間社会における陰謀や、ドリトルの過去を描くものとなっています――もっとも、元の物語は、かなりぶっ飛んだ話なので、これを現代の映画とするにはやむを得ないアレンジのようにも思うのですが、ちょっと勿体ないような気もします。
　冒頭のドリトル先生の過去を描くパートはアニメになっており、これが妙に出来がいいので、この感じでオリジナルの物語世界を描いても、と思うのですが……

　もっとも、現代風にアレンジされたとは言え、物語は相変わらずの子供向け。女王暗殺の陰謀にしても、その動機はおざなりだし、悪党も描写も全体的に甘口で、大人が観賞するにはちょっと物足りなく感じるかも知れません。
　
　ただ、製作総指揮を務めたロバート・ダウニーＪｒ．の人徳でしょうか、キャストは異様に豪華。女王には「ワイルド・ローズ」で注目されるジェシー・バックリー。縁のある海賊王がアントニオ・バンデラス。ドリトルの頼れる相棒のオウムにエマ・トンプソン。助手の犬がトム・ホランド（そう言えば、昨日観た「エジソンズ・ゲーム」でもエジソンの助手役でした）。臆病なゴリラがラミ・マレックで、アヒルがオクタヴィア・スペンサー、トラがレイフ・ファインズ、キリンがセレーナ・ゴメス、キツネがマリオン・コティヤール……と、欧米の主役級俳優がズラリと言う状態。
　動物役は声の出演だけですから、これは字幕版で観ないと勿体ないかも知れません。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

スティーブン・ギャガン

　■出演

ジョン・ドリトル　・・・　ロバート・ダウニーＪｒ．,

（その他のキャスト）
　アントニオ・バンデラス　　マイケル・シーン　　ジム・ブロードベント　　 ハリー・コレット　　ジェシー・バックリー　　カシア・スムトゥニアク　　エマ・トンプソン
　ラミ・マレック　　トム・ホランド　　オクタヴィア・スペンサー　　ジョン・シナ　　マリオン・コティヤール　　セレーナ・ゴメス　　レイフ・ファインズ
　クメイル・ナンジアニ　　クレイグ・ロビンソン　　ニック・A・フィッシャー　　ジェイソン・マンツォーカス

　■コピー

世界一の名医のヒミツ、それは動物と話せること。

　■Ｌｉｎｋ

https://dr-dolittle.jp/

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