ライブリポート

　これは、「エンド・オブ・キングダム」のアーロン・エッカート主演のクライムサスペンス。
　監督は、「大脱出2」のスティーブン・C・ミラー。

　警察署長の娘が誘拐された。誘拐犯は身代金を受け取りに現われるも逃走し、追跡した警官、ペニーが誤って射殺してしまう。残されたのは、犯人から送られた水が流れ込む透明な箱に少女が閉じ込められた映像と、「６４分後に娘は死ぬ」というメッセージのみ。
　停職処分を受けたペニーだが、責任を感じ独自に捜査を開始。それを知った動画配信サイトのレポーター、エイヴァは、そんなペニーを密着取材して生配信するが……

　この映画、警官の過剰取り締まりに、素人メディアの情報発信と言う、現在を生々しく反映した題材を取り上げつつ、それを活かせていないのがもどかしい感じです。
　映画としては、冒頭の追走劇に始まり、カークラッシュに銃撃戦、廃墟でのドツキ合い……と、派手にアクションを盛り上げ、それなりに見せる部分はあるのですが、その一方で、残り時間は思い出したように言うだけ、とタイムサスペンスはおざなりだし、素人レポーターならではの、スポンサーや会社都合に左右されない真実の報道を謳いつつ、その情報を拡散するのがＴＶだったり……しかも、終盤にはカメラを壊してしまい、どうやって状況を伝えているのか判らなくなる――ここまで根性入ってるレポーターなら何でスマホ持ってるのに動画配信を続けないのか、などと首を傾げさせる描写が続発。
　むしろ、エイヴァの撮影した映像と、ＴＶ報道だけで映画を構成、観客をこの事件の傍観者とする、と言う工夫くらいはあってもいいのではないでしょうか……まぁ、それさえも二番煎じの感があるのですが。

　冒頭で、エイヴァが密着取材をするため「真実を報道して世の中を変えたい」と訴えて、ペニーの心を動かすのだけど……ジョージ・フロイド氏が拘束され死亡するまでをスマホで生配信して、世界中を揺るがす、と言う、現実が映画を追い越している現状では、さすがにインパクトに欠けるように思います――もっとも、映画は本国では２０１９年公開なので作品のせいではないのですが。

　ラストもとってつけたようなハッピーエンドで、ひねりも工夫もなし……この辺りがＢ級映画となる所以でしょうか。
　

　（２０２０年　６月１７日　イオンシネマ海老名にて）

（作品データ）

　■監督

スティーブン・C・ミラー

　■出演

フランク・ペニー　・・・　アーロン・エッカート

エイヴァ・ブルックス　・・・　コートニー・イートン

（その他のキャスト）
　ベン・マッケンジー　　ジェシカ・ルー　　ディナ・メイヤー　　ジャンカルロ・エスポジト

　■コピー

速報　誘拐事件発生
放送禁止の捜査生配信

　■Ｌｉｎｋ

https://gaga.ne.jp/livereport/

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