ＡＫＩＲＡ
アキラ

　これは、大友克洋による同題コミックを、大友克洋自身が監督してアニメ映画化したもの。
　これは１９８８年の映画ですが、今回の劇場上映はＩＭＡＸ版としてデジタルリマスタリングされたもので行われました。

　第三次世界大戦後の２０１９年。東京オリンピック開催を翌年に控えたネオ東京では、反政府勢力のデモ活動が激化していた。
　そんなネオ東京で、職業訓練校生の金田は、暴走族のヘッドとして、対立組織のクラウンと抗争中、政府施設から逃亡中の異能力者・タカシと遭遇。幼なじみでもある鉄雄が怪我をし、軍に拘束されてしまう。
　これが鉄雄の能力を目覚めさせる事になって……

　久々に大スクリーンで観た本作、その魅力が全く衰えていない事に驚きます。確かに、いかにデジタル修復されたとは言え、手書きの絵は明らかに書き込み密度が低く、作画崩れも散見されるものの、その映像センスは卓越したものだし、描かれる内容もこの後のアニメに大きな影響を与えたものばかり。
　強い印象を残し、多くの類似表現を生んだバイクのテールランプの残光演出、そして、大友克洋ならでは大スペクタクルの破壊シーンに至っては、ＣＧなし、手書きでこれをやっている、と言うのが信じられないような出来。
　物語も、人を超える力を持つ、と言う意味と、その力の暴走――と、後に「Ｘ−ＭＥＮ」が描くテーマを先取りしたようなもので、内容的にも全く古びていません。
　民族音楽をアレンジした芸能山城組の音楽も未だに印象的で、あらためて本作の完成度に感心――天才・大友克洋のひとつのピークがこの映画だと言っていいのではないでしょうか？
　 　

　（２０２０年　４月　３日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督

大友克洋

　■出演

金田　・・・　岩田光央

鉄雄　・・・　佐々木望

ケイ　・・・　小山茉美

（その他のキャスト）
　石田太郎　　玄田哲章　　大竹宏　　伊藤福恵　　中村龍彦　　神藤一弘　　草尾毅　　大倉正章
　秋元洋介 　　渕崎ゆり子　　鈴木瑞穂

　■コピー

　■Ｌｉｎｋ

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