シカゴ

ＣＨＩＣＡＧＯ

　恒例の月曜の定時日、つきみ野で、「シカゴ」を観て来ました。

　「５，６，７，８！」と言う、ティ・ディックスの渋い声で、ショーが始まり、ヴェルマ（キャサリーン・ゼタ＝ジョーンズ）が楽屋に飛び込んで来て、血のついた手を洗ってステージに飛び出して行く。
　そして始まる、お馴染みの「オール・ザット・ジャズ」・・・
　そのステージを羨望の眼差しで見つめる、元バックダンサーのロキシー・ハート（レニー・ゼルウィガー）がいた・・・

　ってな冒頭から始まるこの映画、予告編から、華やかなショービズの表裏を描く映画か、と思っていると、主人公のロキシーは、その直後、不倫相手を射殺して、あっけなく刑務所にブチ込まれてしまう。
　この映画、これから先、殆ど刑務所と裁判所が舞台となるのだけど・・・だからと言って、華やかなショーと無縁になってしまうか、と言うと、これが大違い。
　ロキシーを始めとする登場人物の心象風景をミュージカルで描こうとする、この映画の手法に、最初はちょっと戸惑いもするけれど、中盤以降、このスタイルに慣れて来ると、これが何とも面白い。
　リアルパートはいかにもリアリティ重視の普通の映画、そして、ミュージカルパートは、正にブロードウェイミュージカルばりの豪華なステージと言う、カットバックによる場面転換手法は、正に映画ならでは。
　シリアスな芝居をしている登場人物がいきなり歌い出す、ミュージカルと言う手法に馴染めない人も、カットごとにシーンを転換し、心象風景としてミュージカルシーンを描くこのやり方には納得が出来るかも知れません。
　（もっとも、この手法とてそれ程新味のあるものでもないのですが・・・）

　この映画は、「キャバレー」や「オール・ザット・ジャズ」のボブ・フォッシーのブロードウェイ・ミュージカルを、ロブ・マーシャル監督が映画化したもの。
　元々が、ミュージカルと言う事からも、この映画、物語よりも歌と踊りの方が主になるのは理解出来ると思います。
　（蛇足ですが、この物語が実話に基づく、と言う辺り、アメリカと言う国は恐ろしい・・・(^^;）
　

　それより、この映画は、吹き替えが珍しくないと言うミュージカル映画で、敢えて、吹き替えなしでミュージカルシーンに臨んだと言う出演者の熱演ぶりが見物でしょう。
　この映画の為に特訓をしてタップダンスを修得したと言う、リチャード・ギアのタップダンスシーンも大したものだと思うけれど、舞台経験を活かして、大迫力のステージを見せる、ゼタ＝ジョーンズが、やっぱり凄い。
　出産を経験してからの、ゼタ＝ジョーンズ、以前よりちょっと太った感じなのですが、その分、”姉御”的な迫力が増し、この映画では、悪女の雰囲気プンプン。
　”危ない女”の存在感、満点です。
　この、芸達者の２人に比べると、主役のレニー・ゼルウィガーは、ちょっと弱い気もしますが、その分、シリアス部分の芝居でカバーしている感じですね。

　いやいや、これはさすがにアメリカの伝統芸能と言っていい、ブロードウェイミュージカルの映画版。
　これは確かに見事なもので、今年度のアカデミー賞受賞と言うのにも思わず納得の出来でした。

　（４月２１日　ＷＭＣつきみ野にて）

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