これは、オタクカップルの恋の行方を描いたふじたによる同題の人気コミックを、高畑充希＆山�ｱ賢人の共演で映画化したもの。
　監督は「銀魂」の福田雄一。

　２６歳のOL、桃瀬成海は、転職先の会社で幼馴染の二藤宏嵩と再会。
　成海は、所謂”腐女子”と言われるオタクで、それがバレて失恋したばかり。成海は、素性をよく知るゲームオタクの宏嵩ならば気を遣わなくてよいから、と交際をスタートするが、２人の行く手には様々な障害が立ち塞がって……

　この映画、ミュージカル仕立てとなっています。
　高畑充希は舞台ミュージカル経験もある、しっかり歌える女優だし、ミュージカルシーンも有効に使われている箇所もあります。
　そもそも、この物語をミュージカルにする理由には疑問を覚えるものの、ミュージカルそのものを否定するような内容で、腹立たしいとさえ言えた「ダンス・ウィズ・ミー」よりはマシだと思える仕上がりにはなっています。
　ただ、ミュージカルシーンに適していない、アップを多用する撮影には苛々させられますし、ミュージカルシーンを成海の独白として多用、彼女がひとり歩きながら歌い始める、と言う展開が繰り返されるのも工夫がありません。また、本作のミュージカルパートは物語の推進力が弱く、ドラマが失速させる感があるのも残念です。
　ドラマを失速させると言えば、福田作品常連の佐藤二朗とムロツヨシ、この２人のギャグが、完全に滑っているのにも関わらず延々と続けさせられるのは、白ける以上に気の毒なほどでした。

　映画としては、原作コミックを題材に“オタク”と言うものをネタとして扱ってみました、と言う感が強く、本物のオタク層からは怒りを買いかねず、一般向けとしては敬遠されそう……そもそも、原作コミックが、オタク向けの「オタクあるある」で、身内の自虐ネタのような内容だったのだから、映画として広く一般向けにするのは向いてない内容だと思います。それを、ミュージカルにして一般客相手の商業映画とする、と言う企画から外しているように思えてなりませんでした。
　

　（２０２０年　７月１２日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

福田雄一

　■出演

桃瀬成海　・・・　高畑充希

二藤宏嵩　・・・　山�ｱ賢人

内田真礼　・・・　本人

（その他のキャスト）
　菜々緒　　賀来賢人　　今田美桜　　若月佑美　　ムロツヨシ　　佐藤二朗　　斎藤工

　■コピー

これは、暑くて尊くて、推しに全てを捧ぐ夢に生きるひとたちの物語

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