ＨＵＳＴＬＥＲＳ
ハスラーズ

　これは、ニューヨーク・マガジン誌に掲載された記事を原案に、ウォール街の男たちから大金をせしめたストリッパーたちの姿を描く映画。
　監督・脚本は、「エンド・オブ・ザ・ワールド」のローリーン・スカファリア。
　主演は「クレイジー・リッチ！」のコンスタンス・ウーですが、彼女以上に存在感を見せているのがスクリーンに久々登場のジェニファー・ロペス。その他、ストリッパー役には有名ダンサーやラッパーが起用されています。

　祖母の介護のため、ストリップクラブで働くディスティニー。だが、中国系で地味な見た目のディスティニーの人気はなく、いくら働いても手元に残る金は僅かばかり。
　そんななか、クラブでひときわ輝くエース格のラモーナからストリッパーとしての稼ぎ方を学び、デスティニーは安定した生活ができるようになっていく。
　だが、２００８年、リーマン・ショックの影響で経済は失速、夜の街にも不況の波が押し寄せる。
　「真面目に働いてる人間が苦しんでいるのに、不況の張本人であるウォール街の男たちは豊かな暮らしをしている」
　と不満を募らせるラモーナはデスティニーやクラブの仲間たちと共に、ウォール街の男たちをターゲットに薬物を入れた酒を客に飲ませて大金を奪う計画を企てる。

　この映画を背負い、主役のディスティニーを食ってしまう程の存在感を見せるのがラモーナを演じるジェニファー・ロペス。
　かつて、ラジー賞の常連だった彼女に、今年はラジー賞が名誉回復の表彰をしたけれど、冒頭の彼女のパフォーマンスは見事の一語に尽きます。
　脱ぎこそしないものの、本職さながらのポールダンスに、刺激的なパフォーマンス……身体だって変わらない美乳に盛り上がったヒップと、完全に「現役」だ。これで５０歳だと言うのですから……
　一方、主役のコンスタンス・ウーと言えば、いかにもな東洋系の顔立ちだけど、正直、彼女に人気があるのが判らないなぁ……

　この映画、実話をベースにした一種のコン・ゲーム。リーマンショックによる不況のツケをウォール街の証券マンに払わせる、と言う、彼女らの犯罪は、痛快と言えば痛快、少なくとも最初の方は良心は痛みません。しかし、それがルーティン・ワーク化する中で、シングルファーザーが障害のある娘と暮らす家のローン資金まで巻き上げてしまったりするのはさすがに気になる――まぁ、それでディスティニーがラモーナと仲違いするようになるなど、最後はちょっと湿っぽくなってしまいます。
　もっとも、これは決してスカっとするだけの娯楽映画ではなく、格差社会の歪みを描くものと見れば仕方ない事なのかも知れませんし、女同士の友情物語としても見応えがあります。

　昨年、「ジョーカー」公開まで、本作が全米興行ランキングでトップだったと言うのもどうかと思いましたが、ストリッパーが主役の色モノ、と言うだけではない、社会派映画の側面がランキングを押し上げていたのだ、と納得しました。
　

　（２０２０年　２月　７日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ローリーン・スカファリア

　■出演

ディスティニー　・・・　コンスタンス・ウー

ラモーナ　・・・　ジェニファー・ロペス

（その他のキャスト）
　ジュリア・スタイルズ　　キキ・パーマー　　リリ・ラインハート　　リゾ　　カーディ・ B　　メット・トーレイ
　マデリーン・ブルーワー　　トレイス・リセット　　マーセデス・ルール

　■コピー

私たちは、もう媚びない――

　■Ｌｉｎｋ

http://hustlers-movie.jp/

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