ハイスクール・フリート
劇場版

　これは、女子高生が学校活動として第二次大戦中の軍艦を操る人気アニメーションの劇場版。

　国土の水没で海上大国となった日本。
　海の安全を守るブルーマーメイドに憧れ、横須賀女子海洋学校に入学した岬明乃は、航洋艦「晴風」の艦長として仲間と共に数々の危機を乗り越えてきた。
　そして、全女子海洋学校の生徒が集う競闘遊戯会が開催されるが……

　このシリーズ、原案は「ガールズ＆パンツァー」の鈴木貴昭で、正直、二番煎じ感がかなりあるものとなっています。
　見せ場としては、ＣＧによりリアリティのある艦船のアクションを見せる、と言うもので、アニメ絵と組み合わせるから許される、そこそこのディティール（実写でやったら大事だ）で作品としてまとめられるのは、アニメと言う形態を巧みに活かしたものと言えるでしょう。

　私は本編のシリーズ未見、殆ど予備知識なしで観始めたのですが……映画冒頭、美少女の学園コメディ、所謂“きゃっきゃうふふ”の世界はさすがに気恥ずかしいものがありました。
　しかも、ストーリー展開、演出などは稚拙な上に粗く、これはさすがに気になりました――競闘遊戯会のイベントの戦術シミュレーション（兵棋演習？）の丁々発止のやりとりを、ギャラリーの言葉だけでなく、ゲームとして見せて欲しいし所です。
　また、浮きドックを沈めて横須賀港閉塞を行ったのに、港内の艦艇がいつの間にか東京湾に出ているなど、展開として矛盾や疑問を感じる箇所が目立つのも残念な所。
　作画レベルも低く、背景とアニメキャラクターの大きさが明らかにあっていない（道路が広すぎる、手すりが高すぎる）箇所が散見されたのも気になりました。

　艦船描写に関しては、ちゃんと監修が入っているのでしょう、確かに悪くありません。
　大和級の射撃シーンでは、最大射程で撃つ場合、敵は水平線の向こうで見えない、と言うのを解説つきで描写しているのは立派だし、発射シークェンスも真っ当でこの辺りは感心しました。
　クライマックスの戦闘シーンは、過剰演出の箇所はあったものの、なかなか楽しめるものだったので、これで一般作画がもっとちゃんとし、ドラマがしっかりしていればじっくり観てみたいと言う気にもなるのですが……
　

　（２０２０年　１月２２日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

信田ユウ

　■出演

岬明乃　・・・　夏川椎菜

宗谷ましろ　・・・　Ｌｙｎｎ

（その他のキャスト）
　古木のぞみ　　種崎敦美　　黒瀬ゆうこ　　久保ユリカ　　澤田美晴　　　菊地瞳　　田中美海　　丸山有香　　田辺留依　　中村桜 　　彩月ちさと
　大地葉　　宮島えみ　　山下七海　　藤田茜　　小林ゆう　　高森奈津美　　相川奈都姫　　清水彩香　　福沙奈恵　　小澤亜李　　金子彩花
　新田ひより　　大橋歩夕　　麻倉もも　　伊藤かな恵　　大津愛理　　阿澄佳奈　　雨宮天　　鶴岡聡　　五十嵐裕美　　森永千才

　■コピー

仲間と一緒なら
どんな危機も乗り越えられる。

　■Ｌｉｎｋ

https://www.hai-furi.com/

［戻る］