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半地下の家族

　これは、「グエムル／漢江の怪物」や「スノーピアサー」のポン・ジュノ監督によるブラックコメディ。
　昨年のカンヌ国際映画祭では最高賞パルムドールを受賞しています。

　ソウルの下町のアパートの半地下で暮らすキム・ギテク、チュンスク夫妻と息子ギウ、娘ギジョンの４人家族は現在揃って失業中。内職をしながら何とか糊口を凌いでいた。
　そんなある日、大学生の友人から家庭教師の仕事を紹介されたギウは、ＩＴ企業社長パク・ドンイクとその一家が暮らす丘の上の豪華な邸宅を訪ねて……

　半地下の住宅と言うのは奇妙な構造ですが、これは永く戦時体制にあった韓国で、本来は防空壕として作られたもの。それが、最近ではソウルの住宅事情から低価格住居として転用されている、と言う事実があるのだそうです。
　トイレの位置が妙に高いのは、下水管よりも低い位置にしてしまうと水が流れないからで、決して珍しいものではなく、「王様トイレ」と言う通称まであるのだとか。

　この映画はネタバレ厳禁なので、多くを説明出来ないのですが……カンヌパルムドールは、ここ数年、格差と貧困と言う社会派のテーマを持つ映画が評価される（２０１８年は「万引き家族」、２０１７年は「わたしはダニエル・ブレイク」）中、本作は同様に社会性のあるテーマを内包しつつも、しっかりエンターテイメントしている印象。
　コメディチックに都合の良すぎるくらいトントン拍子に事態が転がって行く前半、雷鳴と共に暗転しホラーチックな描写も見せつつ、陰と陽が交錯するクライマックスへ辿り着く後半まで、全篇目を離せない、引き込まれるような面白さがあります。
　しかも、格差を絵で対比させて見せる描写、巧妙に伏線を張り巡らせた脚本と、映画としての完成度も高い。
　注文をつけるならば、クライマックスの惨劇が、物語にストンと収まらないような感を与える事くらいでしょうか。

　出演者としてはやはりソン・ガンホが巧いのですが、存在感を見せたのは、ギジョン役のパク・ソダム。
　洪水の最中、便器に腰掛けてタバコを吸う、それが本当にハードボイルドで格好いいです。　

　これはとんでもなく面白い映画で、先行して公開されたアメリカでは外国語映画として記録的なヒットを飛ばし、今年度アカデミー賞に、外国語映画部門だけでなく、作品賞としてもノミネートされる破格の扱いを受けているけれど、それにも納得です。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ポン・ジュノ

　■出演

キム・ギテク　　・・・　ソン・ガンホ
キム・チェンスク　・・・　チャン・ヘジン
キム・グウ　　　・・・　チェ・ウシク
キム・ギジョン　・・・　パク・ソダム

（その他のキャスト）
　イ・ソンギュン　　チョ・ヨジョン　　イ・ジョンウン

　■コピー

幸せ　少し　いただきます。

　■Ｌｉｎｋ

http://www.parasite-mv.jp/

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