これは、２０１１年、世界中で大ヒットしたフランス映画「最強のふたり」をハリウッドでリメイクしたもの。
　主演のふたりを、「ペット」シリーズのケヴィン・ハートと「トランボ　ハリウッドに最も嫌われた男」のブライアン・クランストンが演じます。

　スラム街出身でキャリアも教養もないお調子者のデルは、仕事を失い、妻子にも見放されて、ハンディキャップを持つ大富豪フィリップの介護人に応募する。
　フィリップの周囲の人は育ちの悪いデルを雇う事に反対するが、フィリップはデルを気に入り介護を任せるようになる。
　だが、フィリップは誰にも言えない秘密を隠していて……

　このリメイク版、オリジナルに対し、物語弱め、ロマンス増量と言う所――本音でぶつかる事で、立場を超えた友情を築いたオリジナルの物語に比較すると、肝心な部分をはぐらかされたような感じで物足りませんし、フィリップのロマンスを軸にした展開もいささか安っぽいものに思えました。やはり、そうした所で、より判り易くする事を狙って来るのがハリウッド流と言うことでしょうか……
　また、物語の展開に少し無理があり、設定や描写にもリアリティを欠く部分が散見されたのも残念な所です。

　デルを演じたケヴィン・ハートは、いささか人相が悪く、確かにスラム育ちっぽくはありますが、オリジナルのオマール・シーが持っていた愛嬌に欠けるように思います。
　ハリウッド映画だけに、ふんだんに金をかけて撮影したスケールの大きな映像には見応えがあり、ベースとなったの物語のよさもあって感動はさせられるのですが、映画としては、残念ながらオリジナルを超えるものではなかった、と言うのが正直な印象です。　
　

　（２０１９年　１２月３１日　川崎チネチッタにて）

（作品データ）

　■監督

ニール・バーガー

　■出演

　デル　・・・　ケビン・ハート
　フィリップ　・・・　ブライアン・クランストン

　イヴォンヌ　・・・　ニコール・キッドマン
　

　■コピー

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