「アイズ ワイド シャット」

　本日、「アイズ　ワイド　シャット」観て来ました。

　さて、「２００１年宇宙の旅」など数多くの名作を生んだ巨匠、スタンリー・キューブリックの１２年ぶりの新作、そして、遺作となってしまった本作品ですが・・・ちょいと期待はずれだったかな。(^^;

　主人公の医師・ビル（トム・クルーズ）と、妻のアリス（ニコール・キッドマン）は結婚９年目。
　社会的地位にも収入にも恵まれ、一人娘と共に幸せに暮らしているが、ふとした拍子に妻が告白した、”ちょっとした浮気心”（実際に浮気した訳じゃない）に動揺したビルは、あてど無く夜の街を彷徨った挙げ句、上流社会の「闇」を垣間見る事に・・・

　これ、アルトゥル・シュニッツラーの「夢奇譚」（「夢がたり」としてハヤカワより再刊）を元に、キューブリック監督が３０年ほど温めていた作品だそうですが・・・今となっては物語が古過ぎる。
　（まぁ、２０年代のウィーンの物語を現代のＮＹで語る事に無理があるのか・・・或いは、既にキューブリックのセンスが古いのか・・・）
　妻の浮気心を告白された時の夫の動揺ぶりとか、上流社会の秘密乱交クラブの描写とか・・・

　それに、主人公夫妻が極めて「品行方正」で、結局、浮気も不倫も、ちょっと想像してみただけか、ちょっと触れただけで終わってしまう。
　物語の中でも、過激な性行為（通常の性行為の描写はあるけどね）の描写はされず、「史上初の成人指定のメジャー洋画」と言う割には大人しい印象を受けました。
　（これでも全米公開版に入っていた６５秒の修正抜きのオリジナルだそうですが）

　まぁ、結局は、これって夫婦の痴話喧嘩を思いっきり豪華に描いた映画ですよね。
　（実際、完全に「痴話喧嘩」やってる場面がある）
　で、喧嘩の挙げ句、ヤケになったダンナが自分も火遊びを試みるのだけど、金持ちのジジィ共にからかわれて、はい、お終い、って。
　（こう書くと身も蓋もないが(^^;）

　そんな小さな物語なので、結論としては、「一夜の出来事は夢と同じ。しっかりと目覚めて現実を生きる」（そのためにまず××××しましょ）と言う所に落ち着くのだけど、私的には、この結論は物足りなかった。
　押井守じゃないけれど、「邯鄲の夢」の如く、何れが夢か誠か、と言う所まで踏み込んで欲しかったような気がするぞ。

　（８月１２日　マイカル本牧シネマズにて）

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