ルパン三世
ＴＨＥ　ＦＩＲＳＴ

　これは、モンキー・パンチ原作の傑作アニメシリーズ「ルパン三世」を３Ｄ・ＣＧアニメとして映画化したもの。
　監督、脚本を務めるのは、「アルキメデスの大戦」の山崎貴。

　その謎を解き明かした者は莫大な財宝を手にすると言われ、怪盗アルセーヌ・ルパンをしても我が物に出来なかった伝説の秘宝ブレッソン・ダイアリー。そんな秘宝を狙うルパン三世は、彼を出し抜いてまんまとブレッソン・ダイアリーを手に入れた考古学を愛する少女レティシアと共に、あらためてその謎に挑む事になる。
　だが、２人の前に秘密組織の研究者ランベールと組織を操る謎の男ゲラルトが立ち塞がって……

　この映画版ですが、ルパンシリーズ初となる３Ｄ・ＣＧはなかなかの出来。リアリティを増しつつ３Ｄ化されたアニメキャラクターと、メカニック＆背景のバランスもよく、アニメ表現ならば日本に変わらぬアドバンテージがある事を感じさせます……まぁ、山崎貴が手掛けるのですから、それも当然ですが。
　ただ、実写作品ではリアルな演出を見せる山崎貴監督なのですが、アニメとなると途端にリアリティを無視するのは気に入りません――単発の複葉機を６発の巨大飛行艇が追いかけ回す空中戦描写などは噴飯もので、宮崎駿でなくとも飛行機を知ってる者なら絶対にしない演出ですし、その複葉機がなんとソードフィッシュ……ドイツ人が使う可能性皆無の飛行機ですよ、あれは。

　そして、物語の方も正直納得出来ず……これまで時代をはっきりとさせて来なかったルパン三世シリーズの中で、「第二次大戦の十数年後」と時代を背景を明確にしてしまったのは気になりますし、物語自体も、内容や演出に過去作品に既視感を感じさせる部分が多過ぎます――と言うよりも、本作は「カリオストロの城」の焼き直し、と言っても過言ではない内容なのです。特にエピローグなどは、カリ城そのまま、と言っていいほど。
　「ドラえもん」や「ファイナルファンタジー」もそうだったのですが、山崎監督、これを“やらされ仕事”と思ってやっているのではないとは思うのですが、過去作品をコラージュのように継ぎ合わせて３Ｄ・ＣＧにして出来上がり、と言う、安易に作っているように見えてしまうのが残念に思えました。
　

　（２０１９年　１２月　８日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

山崎貴

　■出演

ルパン三世　・・・　栗田貫一
次元大介　・・・　小林清志
十三代目　石川五右衛門　・・・　浪川大輔

峰不二子　・・・　沢城みゆき

銭形警部　・・・　山寺宏一

レティシア　・・・　広瀬すず

（その他のキャスト）
　吉田鋼太郎　　藤原竜也

　■コピー

すべてを盗め。

　■Ｌｉｎｋ

https://lupin-3rd-movie.com/

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