ジェミニマン

　これは、「ライフ・オブ・パイ／トラと漂流した２２７日」で、実物としか見えない虎をＣＧで描いてみせたアン・リー監督が、今度は「２３歳のウィル・スミス」を描いて本人と共演させたアクション映画。

　米国防情報局（ＤＩＡ）の凄腕スナイパー、ヘンリー。だが、５０歳を過ぎ、ある任務で衰えを自覚した彼は引退を決意する。
　だが、最後の仕事に係わる秘密情報を入手した矢先にＤＩＡの暗殺部隊の急襲を受け、情報提供者を含むヘンリーのチームは壊滅。
　ヘンリーは彼の監視役だったＤＩＡ捜査官のダニーを連れ逃亡を図るが……

　この映画、毎秒１２０コマ、４Ｋの３Ｄカメラで撮影されており、本国アメリカにも上映館がない、と言う行き過ぎた仕様となっています。
　今回、ブルク１３のＩＭＡＸ・２Ｄで鑑賞したのですが、何処までそのポテンシャルを引き出せていたのやら……確かに、素早い動きのアクションシーンでもチラつきなどが見られないな、とは思いましたが……

　そして、この映画の最大のウリである２３歳のウィル・スミスは、なんとこれがフルＣＧ。アクションシーンなどはスタントダブルが演じていますが、「ライフ・オブ・パイ」の虎同様、ＣＧで描かれ、顔だけをウィル・スミスの演技をパフォーマンス・キャプチャーで取り込んで貼り付けている、と言う……これにはびっくりです。
　現状、高額ギャラで知られるウィル・スミス本人の２倍くらいのコストがかかる、と言うのがネックですが……これが普及したらベテラン女優などこぞってこれを利用したがるのではないでしょうか？

　アクションとしては、中盤のコロンビア市街で見せるバイクチェイス、そしてバイクを使った格闘技“バイフー”が見せます。
　ただ、物語としては、自己のクローン――“もうひとりの自分”、他者でありながら、どんな肉親よりも自分に近い、と言う不思議な存在との対峙、そして、その若いクローン人間が見せる“過去の自分”と言う面白い設定を活かせていない感じが強く、それに係わる陰謀、と言うのもスケールの広がりがなく、やや竜頭蛇尾な感じを受けました。
　確かに撮影技術・映像技術のスゴさは判りますが、１本の映画としては、いささか平凡な印象と言う感じです。

　（２０１９年　１０月２７日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

アン・リー

　■出演

ヘンリー　・・・　ウィル・スミス

ダニー　　・・・　メアリー・エリザベス・ウィンステッド

（その他のキャスト）
　クライブ・オーウェン　　ベネディクト・ウォン　　ダグラス・ホッジ

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あなたは、もう一人の自分<クローン>と戦えますか？

　■Ｌｉｎｋ

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