ホームステイ
ボクと僕の１００日間

　これは、日本で実写映画とアニメ映画が製作された森絵都の小説「カラフル」をタイ・バンコクに舞台に映画化したもの。

　死んだはずのボクの魂は、「当選しました」の声で自殺した高校生ミンの肉体に宿ることになる。
　１００日間でミンの自殺の原因を見つけないと、ボクの魂は永遠に消えると告げられ、ボクは新たにミンとして再び生き始め、違和感ばかりの学園生活を送る事になる。
　ミンは、何かと世話を焼いてくれるリーの手助けを受けて謎解きを進めるうち、才色兼備の学園のヒロイン、パイと恋に落ちるが、やがて残酷な現実に向き合う事になる……

　主演のティーラドン・スパパンビンヨーは、「バッド・ジーニアス」にも出演していたのですが、あまり強い印象はなし。
　一方、パイを演じるＢＮＫ４８総選挙第１位のチャープラン・アーリークンは、さすがに可愛く、印象的です。

　原作小説は未読。映画版はアニメの方を観ていますが、タイ版は様々な所が極端で、これもお国柄、と言う所でしょうか。
　監督のパークプム・ウォンプムは、ホラー映画を多く手掛けており、冒頭の展開は、ホラータッチのＳＦサスペンスのノリですし、自殺の謎解きミステリーの中でもホラーチックな演出が散見されます。一方、高校に舞台が移ってからは学園ラブコメで何とも甘ったるいロマンスを描いて行く……と、展開の方もなかなか「カラフル」。
　終盤、ミンの自殺の理由に迫る中で、彼を巡るどうしようもない状況が明らかになって行く描写もエグく、これはさすがに死にたくもなるか、と。

　物語としては、そこからの転回がちょっと弱く、終盤のドラマの盛り上がりを欠いた感があるのが残念。あと、ミンの友人をリーを女性にしてしまった事で、ミンとリーの友情と、ミンとパイとのロマンスが、三角関係に思え、リーの想いが報われていないようにも思えてしまい、最後にすっきりしなかったも気になります。
　そして、最後“収まるところに収まった”辺りも、さすがにご都合主義だなぁ、と思ってしまいました。

　ただ、自由でおおらかなタイの世情と、あまり身近に感じる事のないタイの高校生の青春ドラマは目新しく、面白く観られました。
　

　（２０１９年　１０月２２日　新宿武蔵野館にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

パークプム・ウォンプム

　■出演

ミン　・・・　ティーラドン・スパパンピンヨー

パイ　・・・　チャープラン・アーリークン

（その他のキャスト）
　スークワン・ブンラクン　　サルダー・ギアットワラウット　　ノパチャイ・チャイナーム　　チャーマーン・ブンヤサック　　タネート・ワラークンヌクロ　　スダー・チューンバーン

　■コピー

ボクは死んだ。

そして、僕は生き直すんだ。
初恋の君のために。

　■Ｌｉｎｋ

http://homestay-movie.com/

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