フッド　　
　　　ザ・ビギニング

　これは、ロビン・フッドの誕生を描く物語。
　日本版タイトルは、近年流行の“エピソード：０”と言う感じになっていますが、原題はずばり「ＲＯＢＩＮ　ＨＯＯＤ」です。

　ノッティンガムの若き領主、ロビン・ロクスリー。正義感に溢れる村娘のマリオンと恋仲だった彼は、突如、十字軍に徴用される。聖地エルサレムへの遠征……そして、４年後。傷ついて本国送還となったロクスリーは、領地と全財産が奪われている事を知る。
　どん底に落ちたロクスリーは、十字軍出兵を阻止する為にやってきたアラビアの戦士ヤキヤと共に、腐敗した州長官に対する反撃を開始する……

　ロビンを演じるのは「ロケットマン」のタロン・エガートン。ヤキヤを演じるジェイミー・フォックスと共に歌の方も達者なだけに、歌うシーンがあってもよかったような……
　マリオンを演じたイヴ・ヒューソンは出演作は観ていたものの、これまでは記憶に残っていませんでしたが、綺麗な目が印象的でした。

　これは、よく知られる「ロビン・フッド」の物語を、現代風にアレンジしたもの。
　時代考証を意図的に無視しており、服装や言葉使いなど、ほぼ現代劇になっています。時代劇ですが、剣を使わず、弓をあたかも銃の代わりのように使う演出も、現代の戦闘シーンそのままと言う感じですし、十字軍兵士の服装も、鎧を防弾ベストのようにアレンジして、まるで現代の兵士のよう。そんな彼らがアラビアで、イスラム勢と戦うシーンは、まるで湾岸戦争の１シーンのようです。
　そうやって描かれるアクションは、時代劇の様式美には収まらず、スピーディーな展開の中に、アクロバティックな体技をスローで見せる、なかなか見応えのあるものとなっています。

　こうした演出は、現在の観客を物語世界に引き込むのには有効ですし、実際、見事でもあるのですが……いただけないのは物語がいささか子供じみていること。
　義賊、と言うものに対する倫理観が希薄だし、悪役となる州長官と背後の黒幕となる教会の企む不正と、その悪行の描写も薄っぺらい。
　物語としては、邦題が示すようにエピソード：０ではあるのですが、さすがにこの内容で「ロビン・フッド」を続けていくにはさすがに無理があるだろう、と思わされる仕上がりだったのが残念です。
　

　（２０１９年　１０月１９日　Ｋｉｎｏ　Ｃｉｎｅｍａ　横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

オットー・バサースト

　■出演

ロビン・ロクスリー　・・・　タロン・エガートン

ヤキヤ　・・・　ジェイミー・フォックス

マリオン　・・・　イヴ・ヒューソン

（その他のキャスト）
　ベン・メンデルソーン　　ジェイミー・ドーナン　　ティム・ミンチン　　Ｆ・マーレイ・エイブラハム

　■コピー

反逆者か、ヒーローか。

　■Ｌｉｎｋ

https://hood-movie.jp/

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