ライリー・ノース
−復讐の女神−

　これは、「９６時間」のピエール・モレル監督によるアクション・サスペンス。

　夫と娘と共に、慎ましくも幸せに暮らす平凡な主婦、ライリー・ノース。
　ある日、街を牛耳る麻薬組織により、夫と娘の命を奪われてしまう。組織に買収された警察や裁判所は、容疑者のギャングを無罪にし、法にも社会にも絶望した彼女は姿を消す……それから５年。厳しいトレーニングを積んで生まれ変わり、復讐のため再びロサンゼルスに現れたライリーは、銃を手に次々と復讐を果たしていくが……

　この映画、リーアム・ニーソンが老骨に鞭打って頑張り、彼を再びアクション俳優に押し上げた「９６時間」を、主人公を女性に代えて作り直した、と言う所でしょうか……
　ライリーを演じるジェニファー・ガーナーは「デアデビル」のエレクトラ役など、アクションもこなす身体能力の高さはあるが、彼女も既に４７歳、最近ではアクションもご無沙汰となっていた辺りに、似たような狙いを感じます。

　物語としては家族を殺された女性の復讐譚なのですが、それが地元警察でさえ手が出せない麻薬組織を潰してしまう、と言うのだから尋常ではありません。そんな展開にはいささか無理な所も感じますし、アクションも際立って凄いものを見せてくれる訳ではありませんが、それを指摘するのは野暮ってもの。
　むしろ、Ｂ級アクション映画的な題材でありながら、警官の汚職に関わるドンデン返しを仕込み、また、主人公が女性、支持者は貧困層、と言う辺りに、現在アメリカ社会へのチクリと一刺し、と言う社会派的な要素も盛り込むなど、なかなか考えられた物語の方を注目すべきでしょう。

　「「９６時間」の二番煎じ的な部分は気になりますが、この映画もまたシリーズ化を狙っているような気がします。
　

　（２０１９年　９月２７日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

ピエール・モレル

　■出演

ライリー・ノース　・・・　ジェニファー・ガーナー

（その他のキャスト）
　ジョン・オーティス　　ジョン・ギャラガー・Jr． 　　フアン・パブロ・ラバ　　アニー・イロンゼ

　■コピー

最強のママ、降臨。

　■Ｌｉｎｋ

http://riley-north.jp/

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