今日は、仕事で川崎に外出。
　そんな訳で、仕事が終わった後、川崎駅前のチネチッタに行って「猟奇的な彼女」を観て来ました。

　久々に行くチネチッタだけど、移築されて、えらくお洒落な感じになっています。
　また、この映画館、以前からなかなか快適だったのだけど、今回の改装で更にシートがよくなりました。
　私が深く腰掛けてもまだ頭の所まで充分ある大きなシートで、しかも、前のシートが視界に入らない、という絶妙な傾斜。
　これは気持ちいいなぁ。

　これは、昨年夏に韓国で大ヒットしたラブコメディ。
　その面白さは、スピルバーグ監督の目に止まり、ドリームワークスが７５万ドルでリメイク権を獲得、現在、製作準備中だとか。

　この映画、「猟奇的」と言う言葉にまずギョっとさせられるけれど、韓国では、「猟奇」と言う言葉は、奇妙なものを探す、と言う行動を意味し、そこから、「奇抜な」とか「過激な」と言うような意味を持つらしく、日本語で「猟奇」と言う言葉から連想される意味とはちょっと違うようです。
　この映画のヒロインは、一見、清楚な美女なのだけど、性格は、正にこの「猟奇的」。並外れたわがまま、そして、二言目には「ぶっ殺す」と口走り、主人公に暴力をふるい、辺り構わず、彼女の正義を振りかざす。
　そんなハチャメチャなヒロインを「イルマーレ」の美人女優、チャン・ジヒョンが魅力的に演じています。

　物語の語り手は、主人公の大学生、キョヌ。
　２年間の兵役を終えて、大学に戻ったキョヌは、ある日、地下鉄で、自分好みの美女を見つける。
　ただし、彼女はベロベロに酔っぱらっていて、車内で小間物屋を広げる始末。
　いかに自分好みの美女でも、ゲロまみれでは関わりたくない、と思うキョヌだけれど、周囲の乗客から、彼女の連れと誤解されたキョヌは、彼女の介抱をする羽目に。
　それが、キョヌと、”猟奇的な彼女”との出会いだった・・・

　この”猟奇的”な物語は、インターネット上で公開された小説が元になっている、とのこと。
　ネット上での連作小説が人気となり、その後、本も出版され、そして、映画化されたのがこの映画、と言う訳です。

　映画は、”猟奇的”でハチャメチャな彼女に、気弱だけれど優しいキョヌが振り回されるシチュエイションコメディで笑わせる前半（前半戦）と、今度は雰囲気をちょっと変えて、２人が別れるに至る、「ロミオとジュリエット」のような悲恋の物語となる後半戦、そして、その後の２人を描く延長戦の３部構成。
　前半戦は、勿論、笑わせてくれますが、見応えがあるのが、２人の結びつきとその内面に踏み込んで行く後半戦です。
　彼女の見合いの相手に与えた、キョヌの「彼女とつきあう為のアドバイス」には、思わず涙が出そうになりました。

　そして、延長戦で、オープニングから引っ張っている伏線を用いて、強引にハッピーエンドに持って行く、それにはさすがに無理もあると思いましたが、後半戦から幾度も重なる２人のすれ違いに苛立っていた所にストンとはまり、感動させられてしまいました。(^^;
　そして、そこから余韻を残さず、スパっと終わる手際のよさもなかなか見事。

　ヒロインを演じたチョン・ジヒョンは綺麗で魅力的だし、大いに笑えて、ちょびっと泣けて、そんでもって、最後は、「そう来るか」という仕掛けでもって気持ちよく締めくくる。
　確かに、スマートさや洗練に欠ける映画ではあるけれど、これはこれで、映画の本道一直線、これは、よい映画です。

　（２月１９日　川崎・チネチッタにて）

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