ガーンジー島の
読書会の秘密

　これは、メアリー・アン・シェイファーの同題小説を「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューウェル監督が映画化したミステリー＆ラブロマンス。
　主演は「シンデレラ」のリリー・ジェームズ。

　１９４６年、終戦直後のロンドン。女性作家のジュリエットは、彼女の手放した愛蔵書の持ち主からの手紙をきっかけに、エリザベスという女性が創設した“ガーンジー島の読書とポテトピールパイの会”に関する記事を書こうと、島を訪れる。
　だが、現在、島にエリザベスの姿は無く、会のメンバーの女性からは、記事にする事を強く反対されてしまう。
　それでも、苦境の中、本が人と人の心を繋いでいたと言う、この島の読書会、それを生み出したエリザベスと言う女性に惹かれたジュリエットは、エリザベスの行方を追いかけて……
　
　この映画は、国境の島を舞台に、戦争に翻弄される人々と、その中で生まれた悲劇を描きます。戦時の厳しい占領下と言う過酷な状況であっても、人を人たらしめるものが文化であり、人はパンのみによって生きるものに非ず、と言う本好きを感動させるエピソードを始め、ドラマの背景となるエピソードは戦争と人間性を考えさせられるものとなっています。
　ただ、ドラマの核となるには、エリザベスの消息については概ね読めてしまい、ミステリーとして物語を引っ張るものではありません。むしろ、物語を動かして行くのは、２人の男性の間で揺れるジュリエットの女心、と言う恋愛サスペンスなのですが、こちらも、素朴で本好きのガーンジー島の青年と、裕福で社交的なアメリカ軍士官では、その恋の行く末も先が見えてしまうもので、サスペンスとしては今ひとつ、と言った所です。

　もっとも、この映画、私としてはお気に入り女優のリリー・ジェームズ見たさに行ったようなもの。知的で清楚で控えめなジュリエットのキャラクターはリリー・ジェームズに宛て書きされたように思える程で、彼女の魅力はたっぷり満喫出来ましたので満足です。
　

　（２０１９年　８月３１日　Ｋｉｎｏ　Ｃｉｎｅｍａ　横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

マイク・ニューウェル

　■出演

ジュリエット・アシュトン　・・・　リリー・ジェームズ

エリザベス・マッケンナ　・・・　ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ

（その他のキャスト）
　ミキール・ハースマン　　グレン・パウエル　　キャサリン・パーキンソン　　マシュー・グード　　トム・コートネイ　　ペネロープ・ウィルトン

　■コピー

ページをめくると、品性を輝かせる出会いが待っている。

　■Ｌｉｎｋ

http://dokushokai-movie.com/

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