ヒューマンフロー／大地漂流

　これは世界が注目する破天荒な芸術家にして、人権活動にも尽力する中国のアイ・ウェイウェイが監督を務め、世界的な問題である難民の現状に迫るドキュメンタリー。

　ギリシャのレスボス島を中心に、２３カ国・４０箇所の難民キャンプで撮影とインタビューを敢行。貧困、戦争、気候変動など、様々な理由で増加し続ける難民を何年にも渡って取材し、世界的な問題となっている難民危機の現状を明らかにする。

　青い海、白い波頭、その中を行く船にぎっしりと詰め込まれた人々のオレンジのライフジャケットが鮮やかに浮かび上がる……そんな印象的な空撮映像で始まるこの映画。
　さすが、芸術家が監督を務めるだけあって、その１カットが印象的……と言うか映像作品としてインパクトを与えるカットが多数あります。
　映画は、難民問題が起きている、その現場ひとつひとつを子細に捉えるのだけど、その背景や、全体像には言及しません。インタビューも多く、印象的な語句も多いのですが、解説が殆どなく、状況を理解するのには相当の予備知識を必要とします。
　また、世界の難民を描く中、中国の状況と、その難民を描いていないのが物足りなくもあります。
　そして、監督のアイ・ウェイウェイ自身が、この現実に途方に暮れているように思えるのですが、それは彼自身が祖国・中国から追放され、戻れば自由を失うと言う、正に難民と化しているからかも知れません。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

アイ・ウェイウェイ

　■出演

アイ・ウェイウェイ

　■コピー

もしも「故郷」を失ったら――

　■Ｌｉｎｋ

http://www.humanflow-movie.jp/

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