スパイダーマン
ファー・フロム・ホーム

　これは、ＭＣＵに連なり、アベンジャーズの一員となったスパイダーマンの新作で、「スパイダーマン：ホームカミング」……と言うか「アベンジャーズ：エンドゲーム」の続編。
　監督は、前作に引き続きジョン・ワッツが務めます。

　アベンジャーズの活躍により５年ぶりに復活し、再び高校へ再び通うようになったピーター・パーカー。修学旅行としてヨーロッパ旅行に出かける事になり、ピーターはこれを機にＭＪに告白しようと策を巡らす。
　修学旅行先のベネツィアにて遭遇した自然の力を操るクリーチャーによる危機の中で、、ピーターは“別の世界”から来たというベックと共に敵に立ち向かい、これを撃退。
　その夜、宿泊先のホテルに現われたニック・フューリーは、ベックと共に、未知の脅威と戦う事をピーターに求めるが……

　ピーターを演じるのはトム・ホランド。「スパイダーマン：ホームカミング」から２年を経ても、まだまだ高校生役に違和感がありません。
　ＭＪを演じるのはゼンデイヤで、賢いツンデレ、と言う新たなヒロインを好演しています。

　スパイダーマンと言う物語は、高校生のピーター・パーカーが、突如身についたスーパーパワーに戸惑い、受入れ、成長する中で「大いなる力には大いなる責任が伴う」と言うテーマを描くと共に、スーパーヒーローと日常の冴えない高校生のギャップに、その面白さがありました。でも、今回の映画では、アイアンマンとキャプテン・アメリカと言う支柱を失ってアベンジャーズが消滅した世界で、世界を救うスーパーヒーローとして期待されると言う設定となってしまい……これは、未だ１６歳のピーター・パーカーには酷ですし、本来、“下町のひとり自警団”に過ぎないスパイダーマンにも背負い難い課題で、これはスパイダーマン本来の物語を見失っているように思えてしまいました。
　
　そんな、いささか無理めの物語である一方で、映画としては見せ場の連続で飽きさせないのが、さすがのマーベル・スタジオ映画。今、乗りに乗ってる感じ全開で、いかにも若者向けらしく、テンポよく駆け足で進める展開は小気味よく、アクションの中でも軽口とユーモアを失わないピーターの明るさ――元々スパイディってのはこう言うキャラなので――を活かして、アクション中にもギャグを仕込んで来るのも面白い。
　ただ、映画としては、これ単体で楽しめると言うよりも、やはり、ＭＣＵに対しての知識が必要で、そうした予備知識がないと意味不明になってしまいそうな内容が、映画鑑賞に向けての敷居を上げてしまっているようなのは気になりました。
　そして、お馴染みのエンドロール後のプレビュー、これがまた愕然とするようなもので……来年に予定されている続編、これまたスパイダーマンには厳しいものになりそうな感じです。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ジョン・ワッツ

　■出演

スパイダーマン＝ピーター・パーカー　・・・　トム・ホランド

ＭＪ　・・・　ゼンデイヤ

ニック・フューリー　・・・　サミュエル・L・ジャクソン

ミステリオ＝クエンティン・ベック　・・・　ジェイク・ギレンホール

（その他のキャスト）
　コビー・スマルダーズ　　ジョン・ファヴロー　　J・B・スムーヴ　　ジェイコブ・バタロン　　マーティン・スター　　マリサ・トメイ

　■コピー

アベンジャーズ最後の戦い

　■Ｌｉｎｋ

http://www.spiderman-movie.jp/

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