これは、韓国の人気ウェブコミックを２部作で映画化した前篇。
　監督・脚本は、「ミスターＧＯ！」のキム・ヨンファ。

　火災現場で少女を救い、壮絶な殉死を遂げた消防士ジャホンは、死後の世界である冥界で、弁護士カンニム、護衛ヘウォンメク、補助弁護士ドクチュンという３人の使者に迎えられる。
　亡者は七つの地獄で裁判を受けなくてはならず、その裁判全てで無罪になった者だけが、貴人として認められ、現世に生まれ変わるのだ。
　１０００年の間に４８人を転生させた３人の使者たちは、あとひとり生まれ変わらせれば、彼ら自身も生まれ変わり、冥界から抜け出す事が出来る――最期まで誰かを救う事に人生を費やして来たジャホンであれば、貴人として認められるのは確実、と最後の仕事に向けて張り切る使者たちだが……

　これは、七つの地獄を巡り、そこで行われる裁判によって貴人として転生する事を勝ち取ると言う、あたかもダンテの「神曲　地獄篇」の現代版のような物語。
　裁判、と言うのが現代的であるのに対し、判事や検事らが、中世朝鮮風の衣装を纏っていたり、一方で、弁護人の使者たちは１０００年前の人物と言う割には現代風であったりと、微妙なミスマッチを見せるビジュアルも楽しいし、次々と現われる地獄＝ステージで難題をクリアする、と言う、まるでゲームのような構成も現代的で、韓国で大人気となったのも判ります。

　裁判の資料集めの為に現実社会に現われたカンニムら使者が見せるアクションは、工夫が凝らされていて見応えがありますし、裁判の中で、ジャホンと母の感動のドラマが浮かび上がって来るのも、韓国映画として定番展開とは言え、やはり盛り上がります。

　気になったのは、七つの地獄巡りはいささか詰め込み過ぎで、幾つかの裁判を端折った感じになって、話の繋がりが悪く感じられた事――ひょっとしたら、本国版はもっと尺が長くてきっちり描かれているのかも知れませんが……

　物語は、裁判の中で明らかになったスホンの死にまつわるドラマが次第に比重を増し、それが第二章に繋がって行く、と言う展開を見せます。
　その分、ジャホンの裁判がいささか軽くなりましたが……今度は使者たちの過去が明らかになる、と言う第二章も楽しみです。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

キム・ヨンファ

　■出演

キム・ジャホン　・・・　チャ・テヒョン

カンニム　　　・・・　ハ・ジョンウ
ヘウォンメク　・・・　チュ・ジフン
ドクチュン　　 ・・・　キム・ヒャンギ

（その他のキャスト）
　オ・ダルス　　キム・ドンウク　　イ・ジョンジェ　　Ｄ．Ｏ．

　■コピー

いま、地獄の門が開かれる――

　■Ｌｉｎｋ

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