これは、Ｊ・Ｊ・エイブラムスが製作した映画で、如何にも彼らしい、何でもアリのノンストップアクションとなっています。

　１９４４年６月、ナチス占領下の欧州への大反攻である「オーヴァーロード」作戦の為、フランスに送り込まれた米陸軍の空挺部隊。
　彼らはノルマンディー上陸の“Ｄデイ”前日に、ドイツ軍の通信基地がある村に潜入し、通信塔を破壊する任務を受けていた。
　だが、部隊の新兵であるボイスは、村の教会の地下にある研究施設で、ドイツ軍が秘密裏に行う研究の事を知って……

　映画は、フランスに侵攻する空挺部隊の描写に始まります。
　このシーンを、「プライベート・ライアン」の冒頭のような、と言う評も見かけますが、リアル志向のそれに対し、こちらは完全にやり過ぎ。ドイツ軍にあれだけの迎撃が出来るなら、ノルマンディーに上陸などさせなかっただろう、と思える派手過ぎる破壊と爆発、空挺部隊の描写もおかしく、これはＢ級映画なのでは？と言う予感たっぷり。
　事実、この映画は、決して史実に基づく戦争アクションではありません。
　ドイツ軍に占領されている村の娘、クロエと出会った所から、怪しげな空気が立ちこめ、すっかり映画はホラー映画のノリに……
　正直、私はホラー映画が苦手なだけに、この辺で「観なきゃよかった」と後悔したりもしたのですが、その厭な感じの正体は途中で判明。死者の復活と不死身の兵士を生み出すナチスマッドサイエンティストの研究と、それにより生み出されたゾンビと戦う、と言う展開になって行くのです。
　もっとも、それでも、戦争アクションとして通信塔破壊はあくまで任務としてあり続け、そこにクロエの弟の救出ミッションを重ね、その陽動作戦を含めた、あれこれ盛り沢山のノンストップアクションになだれ込む怒濤の展開には引き込まれます。
　
　出演者に有名俳優はおらず、注目はカート・ラッセルの息子、ワイアット・ラッセルくらい。（若い頃のカート・ラッセルに結構似てます）
　あと、村娘のクロエを演じたマティルド・オリヴィエはこれが映画デビューであるものの、現代映画のヒロインらしく、行動的で、銃にナイフに火炎放射器と、果敢にアクションもこなして、今後、要注目でしょう。

　映画としてはＢ級ホラー・バイオレンス、エグい描写もままあるものの、とにかく、観客を退屈させない作りはさすが。
　化け物に対抗するにはこちらも化け物になる、と言う、人の性に迫る内容もあったりで、苦手なジャンルの作品ではあるものの、予想以上に楽しめました。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ジュリアス・エイヴァリー

　■出演

ボイス　　・・・　ジョヴァン・アデポ

フォード　・・・　ワイアット・ラッセル

クロエ　　・・・　マティルド・オリヴィエ

（その他のキャスト）
　ピルー・アスベック　　ジョン・マガロ　　イアン・デ・カーステッカー

　■コピー

　■Ｌｉｎｋ

http://overlordmovie.jp/

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