GALVESTON
ガルヴェストン

　これは、ニック・ピゾラットの小説「逃亡のガルヴェストン」を、「黄色い星の子供たち」などに出演したフランス女優、メラニー・ロランが監督して映画化したもの。
　主演は「インフェルノ」のベン・フォスター、ヒロインはエル・ファニング。

　組織の“始末屋”として裏社会で生きて来たロイ。ある夜、ボスに命じられるまま“仕事先”へと向かったロイは、突然、襲われる。
　組織に切り捨てられたことを悟ったロイは、その場に囚われていた女、ロッキーを連れて逃げる。組織から追われる身となった二人は、果てなき逃避行の果てに、ロイがかつて過ごした海辺の街、ガルヴェストンに辿り着く……

　この物語、本来はクライム・サスペンスではないか、と思われるのですが、映画はそこに軸足を置かず、ふたり（ともうひとり）逃避行もあっさりと描かれており、印象に残るのはガルヴェストンでのつかの間の平穏な暮らし。
　４０歳の男と１９歳の少女と幼いその妹……男と女の関係になるには躊躇するけれど、ロイが父親代わりに一方的な庇護を与える訳でもない。そんな揺らぎのある関係性を、独自の距離感で描く……この辺りは、メラニー・ロラン監督の女性ならではのセンスでしょうか？
　また、フィルム・ノワール風になってしまいそうな内容ながら、１９８８年のアメリカを見事に活写しつつ、フランス映画らしくふわりとした描写でまとめる辺りにもセンスを感じます。

　物語としては救いのない話で、後味もあまりよくないのだけど、そんな映画の印象を変えるのが、ヒロインを演じるエル・ファニング。
　ラストシーンの笑顔は正に天使のそれに等しい。
　もっとも、そんなエル・ファニングだけに、この映画で演じるロッキーのような、荒んだ役には合わない、と言う違和感もあるのですが……
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

メラニー・ロラン

　■出演

ロイ　・・・　ベン・フォスター
　
ロッキー　・・・　エル・ファニング

（その他のキャスト）
　リリ・ラインハート　　アデペロ・オデュイエ　　ボー・ブリッジス

　■コピー

男は死に場所を求め、
女は生きる希望に縋った――

　■Ｌｉｎｋ

http://klockworx-v.com/galveston/

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