これは、「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第1弾として、「リング」の中田秀夫監督が大石圭の同題小説を映画化したもの。

　ビストロでギャルソンとして働くキョウコ。幼い頃、父から性的虐待を受けた彼女の中には、キョウコを愛するレズビアンの直美、ビッチなゆかり、そして小学生のままのハルという四つの人格が共存していた。
　ある日、マンションの隣人が憧れの小説家、田島冬樹と知り、恋心を芽生えさせるキョウコ。更に、縁を切った筈の母親が現われてキョウコから金をせびるのだった。
　これらの出来事をきっかけに、キョウコの中で保たれていた均衡が崩れ始める。やがて、彼女の周りでは殺人が相次いで……

　ヒロインであるキョウコは、多重人格で、４つの人格がある、と言う設定。それを４人の女優が演じる、と言うのがこの映画の特色。
　そのキョウコの脳内を４人の女の会話として描くのは面白く、人格が変わると女優を変えて見せたりもするなど、多重人格の描写の工夫はなかなか。
　ただ、中田秀夫監督ならではのホラー的な要素は薄く、殺人はあるものの、犯人はある意味明確でミステリーとして謎解きの面白みに欠けます。むしろ、サスペンスとして盛り上がるのは、田島冬樹がキョウコを救えるのか、田島の小説と、キョウコの人生がどう繋がって行くか、と言う、恋愛＆心理サスペンスの方向でしょう。
　その一方で、エロスはなかなか。
　キョウコ役の飛鳥凜は、中田秀夫監督のロマンポルノ・リブート作「ホワイトリリー」でもレズビアン演技を見せており、相変わらずの綺麗な身体を見せてくれますし、カラミも本格的。エロス描写は、殆どロマンポルノで、最後の４Ｐプレイも圧巻です。
　ドラマの弱さやはありますが、サスペンス仕立てのエロスと見れば充分楽しめました。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

中田秀夫

　■出演

キョウコ　・・・　飛鳥凛
直美　　 ・・・　大島正華
ゆかり　 ・・・　松山愛里
ハル　　 ・・・　中谷仁美

田島冬樹　・・・　水橋研二

櫻木友香里　・・・　根岸季衣

（その他のキャスト）
　浜田信也　　吉岡睦雄

　■コピー

快楽の人格四重奏

　■Ｌｉｎｋ

http://satsujyo-movie.jp/

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