甲鉄城のカバネリ
海　門　決　戦

　これは、２０１６年にフジテレビ系で放送されたテレビアニメ「甲鉄城のカバネリ」の後日譚を劇場版として描くもの。

　近世から近代に移り変わろうとした時代。後にカバネと呼ばれる生ける死者、爆発的に増殖。それは鋼の皮膜に覆われた心臓を持ち、噛んだ者までもカバネにしてしまうのだった。
　そんな中、極東の島国である日ノ本で、駿城と呼ばれる装甲列車「甲鉄城」に乗り込んだ生駒たちは、カバネとの熾烈な戦いを潜り抜け、日本海に面する廃坑駅「海門」に辿りつく。甲鉄城は、同じくカバネから海門城を奪還しようとする玄路、虎落の駿城と、海門の民と共に連合軍を結成。海門城攻めの策を講じるが、海門城にはある秘密が隠されていた……

　これは予備知識なしで観始めたのですが……日本を舞台に、時代劇＋鉄道＋ゾンビを組み合わせた、三種噺のような設定に面食らいました。
　ただ、武士の時代の日本を舞台としたファンタジーと言うのは、あの宮崎駿も挑戦しようとしていた魅力的なもので、これに蒸気機関と鉄道と言う１９世紀的テクノロジーを付け加え、個性あるスチームパンク的な見事な世界観を構築していると思います。
　カバネと呼ばれるゾンビは心臓が金属化しており、特殊な刃物か強力な火器でないと倒せない、と言う設定により、基本、近接戦闘で倒すしかない、と言う事になり、まるでガン・カタのようなつかみ合いの間合いで相手に押しつけるようにして銃を撃つ、独特な戦闘シーンを生み出しており、これは迫力とスピード感があって見応えがありました。
　あと、キャラクターが最近のアニメとは異なる古い、と言うか……懐かしいものだったのですが、エンドロールを見て納得……キャラクター設定、美樹本晴彦ですか、なるほど。

　物語は海門城攻城戦をクライマックスにしてコンパクトにまとめられ、鉄道網を利用し、装甲列車で戦いながら移動、と言うロードムービー的なストーリー展開の１エピソードとしてだけでなく、この映画単発としても楽しめるのは、よく出来ている、と思いました。
　ただ、ラブコメ要素がやや過剰で、演出も古臭いそれが、シビアな物語の中でやや浮いた感じであったのは気になりました。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

荒木哲郎

　■出演

生駒　・・・　畠中祐

無名　・・・　千本木彩花

（その他のキャスト）
　内田真礼　　増田俊樹　　沖佳苗　　伊瀬茉莉也　　逢坂良太　　佐藤健輔　　
　マックスウェル・パワーズ　　三木眞一郎

　■コピー

その旅路の先に、
新たな運命<さだめ>。

　■Ｌｉｎｋ

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