ＴＨＥ
QUAKE
ザ・クエイク

　これは、ノルウェーにおける大ヒット作「ザ・ウェイブ」の続編として、更にスケールアップ。今度は、首都オスロを巨大地震が襲う、と言うもので、２０１８年、ノルウェーでＮｏ．１ヒットとなったパニック大作です。
　監督は、これが長編劇場映画デビューとなるヨン・アンドレアス・アナスン。

　地質学者のクリスチャンは、３年前の巨大津波で多くの人を失った経験から、家族と離れて単身、研究に没頭していた。
　そんな彼は、オスロに繋がる海底トンネルで事故死した知人から送られた資料を見て、新たな地殻変動の予兆を察知する。
　だが、オスロに乗り込み研究機関に連絡するも反応は鈍く、クリスチャンは独自に調査を進めるが……

　「ザ・ウェイブ」は、実際に過去災害を起こしたフィヨルドの岩盤崩落による津波を描いていましたが、こちらは大地震。
　しかし、ノルウェーは地震が少なく、マグネチュード５以上の地震が、過去数百年で数度しか起きていないと言う状況にあります。それ故か、クリスチャンがいかに騒ごうとも研究機関の責任者が取り合わないのも判りますし、また、地震が大きな被害をもたらすのも当然でしょう。

　ただ、「ザ・ウェイブ」に対し、今回はクリスチャンが余りに利己的、と言うか自分の想いと、家族を救うと言う事に固執し過ぎに感じ、どうにも感情移入出来なかったのが正直な所です。
　しかも、地震の描写が噴飯もの。まるで津波のように土煙を上げながら地震の震動が迫る……などと描かれても日本人としては白けるばかり。
　クライマックスとなる、地震で半壊したビルからの脱出劇もいささかやり過ぎな上に、あまりに不自然。また、周囲で幾棟ものビルが崩壊して、多数の生き埋め被災者が出ているのに、家族を救う事ににしか関心がないクリスチャンと映画の描写にも納得出来ません。

　確かに、「ザ・ウェイブ」の大ヒットにより、製作費もスケールアップしただけに、ＣＧやセットも大がかりとなって見応えがあり、徐々に盛り上げ、そして次から次へのサスペンスの連打で手に汗握らせる……と言う演出の完成度も高いのですが、地震に対するリアリティの欠如、それからキャラクターを生かし切れず、尚且つ人間ドラマとしても弱い物語のせいで、映画としての完成度は「ザ・ウェイブ」よりも大幅に下落したのではないでしょうか。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ヨン・アンドレアス・アナスン

　■出演

クリスチャン　・・・　クリストファー・ジョーナー

（その他のキャスト）
　アーネ・ダール・トルプ 　　ジョナス・ホフ・オフテブロ　　エーディト・ホーゲンルート＝サンデ　　カトリーヌ・トールボリ・ヨハンセン　　スティグ・アンダム

　■コピー

これは地球の叫びなのか――

　■Ｌｉｎｋ

http://www.interfilm.co.jp/thewave/

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