これはフランスの女性監督、クレール・ドゥニ監督によるＳＦサスペンス。
　主演は「トワイライト」シリーズのロバート・パティソンですが、頭を丸めたせいもあり、大分印象が変わって見えます。

　太陽系を遠く離れ、漆黒の宇宙を亜光速で進む宇宙船「７」――そこには、青年モンテと、生まれて間もない彼の娘の２人だけが乗っていた。
　かつてその宇宙船には、女性科学者ディブスと、被験者としてモンテら９人の重犯罪人が乗船していた。彼らは、刑の免除と引き換えにディブス医師による実験に参加している。
　やがて、目的地のブラックホールが近づき……

　物語の方は、生と死、そして性をテーマとした「２００１年宇宙の旅」と言う所。
　宇宙船の中でひとり赤ん坊を育てる男のシーンで始まり、その赤ん坊が如何にして誕生したのかを、そして９人の死を描いて行きます。そうしてテーマを描き出して行く中、いささか露骨にそれを見せるのが、ジュリエット・ビノシュ演じるディプス医師による野性的なとも言える自慰シーンでしょう。既にエロティックとも言えないそのシーンは、クレール・ドゥニ監督、或いは女性ならではのものでしょうか……

　クライマックスとなる旅の目的地でもあるブラックホールは、宇宙の終焉にして、その誕生の場所でもあります。それを生と死に重ねて描こうとする狙いは判るのですが、予算の都合もあるのでしょうが、映画の描写として、それが伝わって来ない事にもどかしさを感じました。
　実際、この映画、かなりの低予算だったようで、このブラックホールの描写を含め、宇宙船船内のセットもチープですし、宇宙服などのリアリティもいまいち。船外活動もどうにも宇宙空間に見えない、と言う有様――まぁ、この変は予算だけでなく見せ方のセンスもあるのでしょうけど……
　また、時間軸を入れ替えているのと、時間経過がよく判らないせいで、混乱する事もしばしば――終盤に出て来る少女が、冒頭の赤ん坊だと理解するのにも時間を要しました――ですし、目的地であるブラックホールに接近するのが２回あるのも釈然としません。
　どうにもよく判らない映画でした。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

クレール・ドゥニ

　■出演

モンテ　・・・　ロバート・パティンソン

ディプス　・・・　ジュリエット・ビノシュ

（その他のキャスト）
　ミア・ゴス　　アンドレ・ベンジャミン　　ラース・アイディンガー　　アガタ・ブゼク　　クレア・トラン
　ユアン・ミッチェル　　グロリア・オビアニョ　　ジェシー・ロス

　■コピー

究極の密室、目覚める欲望

　■Ｌｉｎｋ

http://www.transformer.co.jp/m/highlife/

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