シャザム！

　これは、ＤＣコミックスのスーパーヒーローが登場するＤＣエクステンデッド・ユニバースの第７弾。

　幼い頃に母とはぐれ、以来、孤児として里親宅を転々としていた少年ビリー・バットソンは、ある日、魔術師に選ばれ、「シャザム！」 と叫ぶと雷光と共に超人に変身する事が出来る力を授けられる。
　だが、１４歳のビリーに世界を救うスーパーパワーなど持て余すばかり。同じ里親宅で過ごすフレディと共に、スーパーパワーを発揮してはネットに投稿、視聴数を増やすなどして遊んでいた彼らの前に、封印を解かれた“七つの大罪”の力を持った最凶の敵、Ｄｒ．シヴァナが現れて……

　シャザムは、１９４０年、「ウィズ・コミックス」に掲載されたコミック、「キャプテン・マーベル」を原作としています。しかし、「『スーパーマン』の盗作」だとＤＣコミックスに訴えられて廃刊となり、後に版権をＤＣに買われたものの、その時には、マーベルコミックスが「マーベル」を商標登録していたため、シャザムに改名した、と言う経緯があります。
　確かに、赤いスーツに白いマントのシャザムは、スーパーマンのパクリと言われても仕方ないように思いますが……それを我が物にしてしまおう、と言うＤＣコミックスもまた何だかなぁ、と……

　本作は、そんなシャザムのＤＣエクステンデッド・ユニバース初登場。
　スタイリッシュではあるものの、画像は暗いし物語の方も重苦しかったＤＣエクステンデッド・ユニバース、昨年の「ワンダーウーマン」から傾向が変わって来ましたが、本作もその延長線上にあり、確かに画面こそ暗い場面が多いものの、物語としては随所に笑える場面を散りばめたもので、ビリーの前に敵が登場するまでは、殆どコメディと言って差し支えないような感じです。
　ただし、後半は、生き別れた母を探すビリーの物語に決着をつけると共に、母を探すのと引き替えにするように、頑なに孤独であり続けたビリーが心を開き、そして“家族”を得るまでのドラマが感動的に――でも、さすがにしつこくはない――描かれます。そこに、スーパーヒーローもののお約束、“力を持つ者の責任”を描いて、ビリーがヴィランに立ち向かい、そして、“家族”を護って戦うに至るのを見せる、ヒーローものとしての定番展開を重ねて行きます。
　勿論、最後の最後まで、マニアをニヤリとするようなネタを散りばめ、笑いを取りに来るのはらしい所ですが、予告編から感じるヒーローもののパロディっぽいコメディと言う印象とは異なる、なかなか本格的なヒーローものになっています。
　まぁ、一々ギャグを盛り込むせいで、アクションシーンを含めて描写が冗長になる傾向があり、時にテンポが悪く感じられる事もありますが、これはこれで面白い。
　シャザムは、コミック世界ではジャスティス・リーグへの参加はゲスト扱いに留まるものの、ＤＣエクステンデッド・ユニバースではどのような活躍を見せてくれるか、楽しみです。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

デヴィッド・Ｆ・サンドバーク

　■出演

シャザム　・・・　ザッカリー・リーヴァイ

ビリー・パットソン　・・・　アッシャー・エンジェル

フレディ・フリーマン　・・・　ジャック・ディラン・グレイザー

Ｄｒ．シヴァナ　・・・　マーク・ストロング

（その他のキャスト）
　ジャイモン・フンスー

　■コピー

見た目はオトナ
中身はコドモ

　■Ｌｉｎｋ

http://wwws.warnerbros.co.jp/shazam-movie/

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