美人が婚活してみたら

　これは漫画アプリで累計１１０００万ＰＶ突破の、とあるアラ子の同題コミックを実写化したラブコメディ。監督は、「勝手にふるえてろ」の大九明子。

　３２歳のWEBデザナー・タカコは、仕事にも容姿にも恵まれていたが、不倫ばかりの不毛な恋を重ねていた。既婚者で親友のケイコは、そんなタカコに呆れながらも愚痴を肴に酒を飲む、そんな付き合いを続けていた。
　タカコの不倫恋愛がまたひとつ終わり、それを機に一念発起して婚活サイトに登録したタカコだが、マッチングされる男性は一癖も二癖もある人物ばかり。だが、そのうちに対照的な二人の魅力的な男性と出会って……

　この物語、アラサーＯＬが失恋し、それでは「結婚」でもしてみるかと言う軽いノリで始まった話は、進むにつれてどんどんシビアになって行きます――導入部では婚活サイトの変人男性たちをコメディタッチで描き、中盤以降、ふたりの男性の間で揺れる女心を描いて行く――そうした中で、女性の日常と心境を、リアルに、時に赤裸々なまでに描き、性描写からも逃げない辺りも好感が持てます。確かに、これはなかなか面白い。原作が大人気となったと言うのにも納得です。
　特に、終盤描かれるタカコとのガチバトルは、これは独身者にはズキズキ痛む内容であると共に、男としては完全にひく内容……おとなの女の本音を描き、知りたくもなかった事を知る事になる、そんな意味でも観る価値あるシーンとなっています。

　ただ、物足りなかったのは、この映画のヒロイン・タカコがいささか凡庸である事。恵まれた容姿の女性が、男性にちやほやされて二十代を過ごし、落ち着いて来た所で、それでは「結婚を前提としたおつきあい」をしてみるか、と言うのは例に暇無い感じ。せめて、タカコが胸に秘めた少女っぽい「本気の恋がしたい」と言う心情を、もうひとひねりして見せる工夫も欲しかった所です。
　そして、そんな”美人”が黒川芽以と言うのも、イマイチな印象を与える部分――出会う男が全て”美人”だと言う、と言う設定を納得させるには、今なら綾瀬はるかか新垣結衣を起用しないとならないのではないでしょうか？
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

大九明子

　■出演

タカコ　・・・　黒川芽以

ケイコ　・・・　臼田あさ美

園木　・・・　中村倫也

矢田部　・・・　田中圭

（その他のキャスト）
　村杉蝉之介　　レイザーラモンRG　　市川しんぺー　　矢部太郎　　平田敦子　　成河

　■コピー

どうして、私こんなに独りなんだろう。

　■Ｌｉｎｋ

https://bijikon.official-movie.com/

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