これは、P・L・トラヴァースの児童文学を原作にしたミュージカル・ファンタジー映画「メリー・ポピンズ」の２０年後を描く続編。
　監督は、舞台演出や振り付け師としても活動しているロブ・マーシャル。主演は、エミリー・ブラント。

　大恐慌時代のロンドン。誰もが余裕を失っていた。バンクス家の長男マイケルも、妻を亡くし悲しみに、画家になる夢を忘れ、父や祖父も勤めたフィデリティ銀行で臨時の仕事に就いて、子供たちを養っていた。
　そんなマイケル一家に追い打ちをかけるように融資の返済期限が迫り、家を失いかねない状況に。
　そんな折、かつてバンクス家に来た魔法使いのメリー・ポピンズが、２０年前と変わらぬ姿で空から舞い降りて来て……

　実は、前作は未見……とは言え、５５年ぶりの続編では、それも仕方ない事でしょうか。映画は、前作を意識せずとも観られる内容になっています。
　映画「メリー・ポピンズ」と言えば、実写とアニメの合成と映画ならではの手法を駆使していましたが、本作でもそれを踏襲しています。絵の中に飛び込み、アニメキャラとの掛け合いが始まると、メリー・ポピンズの衣服が絵で描いたものになっている……そんな映像も凄いし、メリー・ポピンズを演じるエミリー・ブラントがステージ上で本職のミュージカル俳優であるリン＝マニュエル・ミランダに引けを取らないパフォーマンスを見せるのも凄い。
　もっとも、一番楽しかったのは、ガス灯職人に扮したダンサーによる見事なダンスパフォーマンス。やはり、アメリカンミュージカル映画は、舞台的演出になると華やかで楽しい。これぞ、アメリカの伝統芸。圧巻のパフォーマンスです。
　とにかく、華やかで楽しいミュージカル演出には抜かりなく、キャストもとんでもなく豪華……何せメリル・ストリープにまで歌って踊らせますからね。
　また、前作にも出演、本作にカメオ出演のディック・ヴァン・ダイクの９３歳と言う年齢を感じさせない若さと、軽やかなダンスステップにも驚かされました。
　（ディック・ヴァン・ダイク、年相応に見えない、と“老けメイク”をして撮影したのだとか）

　ただ、物語的には正直、お子様ランチで、楽しく、華やかではあるけれど食い足りない、と言う感じ。また、何故、今「メリー・ポピンズ」なのか、と言う疑問も感じます。
　それでも、これは楽しい映画でした。

ＰＳ
　冒頭、バンクス家の３人の子供たちの騒々しさと我が儘ぶりにちょっと苛々……この躾の悪さ。なるほど、それがメリー・ポピンズが必要な訳か、と。
　

　（２０１９年　２月　５日　イオンシネマ海老名にて）

（作品データ）

　■監督

ロブ・マーシャル

　■出演

メリー・ポピンズ　・・・　エミリー・ブラント

マイケル・バンクス　・・・　ベン・ウィショー

ジャック　・・・　リン＝マニュエル・ミランダ

（その他のキャスト）
　エミリー・モーティマー　　ジュリー・ウォルターズ　　コリン・ファース　　メリル・ストリープ　　アンジェラ・ランズベリー　　ディック・ヴァン・ダイク

　■コピー

彼女の魔法は“美しい”。

　■Ｌｉｎｋ

https://www.disney.co.jp/movie/marypoppins-returns.html

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