これは、フランスのカーアクション映画、「ＴＡＸＩ」シリーズの第５作。
　本作の主役となるシルヴァンを演じたフランク・ガスタンビドが監督を務め、間抜けな相棒のエディを演じたマリク・ベンタルハは企画・製作を務めています。　

　パリ警察の刑事、シルヴァン・マロは敏腕だがスピード狂で女好き。悪さが過ぎてマルセイユに左遷されてしまう。
　赴任先のマルセイユ警察は、フェラーリなどの高級車を駆使し宝石を盗む強盗団に悩まされていた。そこでマロは、３００km/h以上出せると言う伝説のタクシーを探し出し、強盗団に対抗することにする。シルヴァンは、伝説のタクシーのドライバー、ダニエルのエディと組む事になるが……

　リュック・ベッソンによる第１作より２０年。前作「ＴＡＸＩ　４」から１０年……１０年オチ、２０万km走ったポンコツプジョーでスーパーカーと戦う事になるこの映画、そんなプジョーに劣らぬポンコツになり下がっていました。

　冒頭からペニスの絵をプジョーに書き、それをエッフェル塔に重ねて、「エッフェル塔って〇ンコみたいだよね？」　って言う下ネタ（フランス人が自虐でやるならともかく、外国人がやったら国辱もの）から始まり、その後も、ゲロにうんこと言う汚物ネタ、下ネタに身障者ネタ、とギャグの大半が下品で低俗……正直、なかなか笑えない内容で、これで笑えるのはせいぜい中学生までではないでしょうか？
　人物造形も浅く、主人公以外は、殆ど全員人の話を全く聞かず、マルセイユ市警の面々と来たら、変人を通り越して狂人レベルと言っていいほど。
　話がかみ合わないのをギャグとして延々と見せられるのにも辟易とさせられますが、会話も出来ない狂人が発作的に暴れる、と言うのはそれはギャクと言えるのか？

　アクションの方は、冒頭、シルヴァンが容疑者を乗せて署に急ぐ、その運転の凄さに到着するまでに全部自白してしまう、と言うのがなかなか見せたけど、それ以降、強盗団のフェラーリ／ランボルギーニとプジョーが出て来てからはもういけません
　高額なフェラーリを傷つけないようにそろそろ走らせ、その後を年代物のプジョーがついて行くカーチェイス……せっかく、サーキットで走らせるシーンも、ハリボテのプジョーの粗が出ないように、走行会レベルの走りに留まるのだからなんとも……

　シリーズの熱烈なファンであると言う、監督・主演のフランク・ガスタンビドは確かに頑張っており、相棒のマリク・ベンタルハと共に、このシリーズを１０年ぶりに復活させた、その熱意と努力は判らなくはないのですが、意あれども力足らずで、映画としてはオリジナルシリーズに遠く及ばず、この出来ではシリーズ再開は難しいのではないでしょうか？　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

フランク・ガスタンビド

　■出演

シルヴァン・マロ　・・・　フランク・ガスタンビド

エディ・マクルー　・・・　マリク・ベンタルハ

ジベール市長　・・・　ベルナール・ファルシー

（その他のキャスト）
　サブリナ・ウアザニ　　エドゥアルド・モントート　　ムッシュ・プルベ　　アヌアル・トゥバリ　　リオネル・ラジェ　　シシ・デュバルク
　サンド・バン・ロイ　　ロマン・ランクリー　　サルバトーレ・エスポジート　　ファブリツィオ・ネボラ　　ルドゥアン・ブゲラバ　　イシェム・ブゲラバ

　■コピー

３００km/h超え！超速タクシー再始動!!

　■Ｌｉｎｋ

http://taxi5.asmik-ace.co.jp/

［戻る］