これは、東野圭吾の同名小説を、木村拓哉と長澤まさみのＷ主演で映画化したミステリー映画。
　監督は「ＨＥＲＯ」の鈴木雅之。　

　都内で起きた３件の殺人事件。現場に暗号じみた数列を記した紙片を残す手口から警察は連続殺人事件と断定。数列を解読し、次の事件の現場が都内の一流ホテル「コルテシア東京」と断定した。凶行を未然に防ぎ犯人を逮捕するため、警察は捜査チームをホテルに配置。
　捜査一課の刑事、新田浩介は、その人を見る目を買われ、フロントに配置された。そのサポートの為、コンビを組むフロントクラークの山岸尚美は、新田に、ホテルマンとしての身なりと作法を教える事となって……

　これの映画、キャストは豪華だし、木村＆長澤の主役コンビも魅力的。物語としても続編も出版される人気作だけによく作られていて、ミステリ＆サスペンスとしても悪くないです。
　ただ、盛り込まれる人情噺がちょっとクサいのと、その妙な盛り上がりがドラマの流れを削いで、中弛みするような感じがあります――この辺り、ＴＶドラマ的だなぁ、と。つまり、視聴者を飽きさせないよう、１５分に１回くらいずつ盛り上げてオチつけて、と言う串団子的な展開――これが、映画として終盤に盛り上がる物語の流れを削いでしまっているようで、残念に思えた部分です。
　少なくとも、新田の高校時代の教師のエピソードは削った方がいいし、冒頭のエピソードに起用された濱田岳も勿体ない――彼の存在感故、思いっ切りミスリードさせられました。
　あと、予告編ははっきりネタバレしてるのが判る……記憶力のいい人なら、あれから犯人判るだろうな、と言う事で、これはちょっと気をつけて欲しい所です。

　木村拓哉は、刑事役は初めてだそうで、それ故に「今までにない役柄」と言われますが、キャラクターとしては「ＨＥＲＯ」の検事役そのままと言う印象。むしろ、年齢相応の役を演じた「検察側の罪人」の木村拓哉の方が意欲的な役柄だったように思います。
　小日向文世や松たか子の起用も、「ＨＥＲＯ」での共演者であり、「ＨＥＲＯ」の鈴木監督にとってやり易かったのかも知れませんが、既視感を覚えてしまう場面もあって気になりました。
　（ただ、その意味では終盤の逮捕劇はちょっと意外でしたが）
　映画としても、犯罪ミステリーと言うよりも、正に「グランド・ホテル形式」の群像劇をやりたかったように見え……軸足もブレていれば新鮮味もない、と言う、何とも中途半端な仕上がりに感じました。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

鈴木雅之

　■出演

新田浩介　・・・　木村拓哉

山岸尚美　・・・　長澤まさみ

（その他のキャスト）
　小日向文世　　梶原善　　泉澤祐希　　東根作寿英　　石川恋　　　濱田岳　　前田敦子　　笹野高史　　高嶋政宏　　菜々緒
　生瀬勝久　　宇梶剛士　　橋本マナミ　　田口浩正　　勝地涼　　松たか子　　鶴見辰吾　　篠井英介　　石橋凌　　渡部篤郎

　■コピー

全員を疑え。
犯人は、この中にいる。

　■Ｌｉｎｋ

http://masquerade-hotel.jp/

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