おとなの恋は、
　まわり道

　これは、本作が４作目の共演となるキアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーによる大人のロマンティック・コメディ。

　フランクは、アラフィフの独身男。絶縁中の異父弟の結婚式に嫌々ながら出席する事になったフランクは、式場へ向かう空港で、ひとりの女性と出会う。リンジーと言うその女性は花婿の元婚約者だった。
　お互い不本意な結婚式への招待で不機嫌な２人は出会った時から衝突し、毒舌の応酬を繰り返す。しかし、飛行機の席も、宿泊するホテルの部屋も、ディナーの席も隣合う事になって、２人の距離は徐々に接近し……

　これは、恋を諦めた男と、恋に絶望した女が出会って始まる物語。最初は衝突していた男女がやがて……と言う恋愛ドラマは数多く、これもその類いではありますが、これはなかなか異色のロマコメ。
　何しろ、２人揃って理屈っぽい上に頑固で、毒舌家。折角の風光明媚なリゾート地で、美男美女の取り合わせながら、その会話は、さながら言葉を武器にした決闘で、ロマンティックの欠片もありません。
　ただ、そんな２人が生命の危機に直面、それを乗り切った事で性衝動がわき起こってセックス――まぁ、登場人物もそうなら、物語の方も理屈っぽいのには苦笑させられますが、何はともあれ、そこからは押せば引き、逃げれば追いかけると言う、ロマンスにはなっていくのですが……

　映画は２人以外には台詞さえなく、その分、２人はほぼ喋りっぱなしと言う会話劇で、これはそのまま舞台劇にも出来そうな感じ。日本で公開されるアメリカ映画としては珍しい小品で、まるでフランス映画……と言うよりは、ウディ・アレンの映画のような趣ですが、ロマンティックさとドラマティックさでは及びません。
　キアヌとウィノナ、２人の毒舌の応酬から始まる、恋愛＆人生観トークを面白がれるかどうかで評価が分かれるような気がします。
　私としては２人のセックス以降、後半の駆け引きが面白くて魅力的に思え、こんな恋ならちょっといいな、と思ってしまいました。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ヴィクター・レヴィン

　■出演

フランク　・・・　キアヌ・リーヴス
リンジー　・・・　ウィノナ・ライダー

　■コピー

こじらせ続けるふたりの恋の終着点は？

　■Ｌｉｎｋ

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